『遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

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7章 それぞれの思惑

20話 知佳を羨ましく思っても・・・

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『惑星ユピテル・人類の宇宙船内』


空洞は、小さな宇宙船用の宇宙港サイズの広さがある。銀河標準規格は採用されているようだ。

ちょっと不思議なのは空洞の中は、大理石の様な石で出来ていた。
まるで何かの遺跡の様な出で立ちだ。


宇宙船の外気センサーが、酸素濃度が生存可能である数値を示していた。
「酸素がある?」
沙羅の言葉に、子どもたちから笑顔が漏れた。
自分たちが生存可能空間があると言うのは、やはり嬉しい。

「じゃあとりあえず、わたしと錬で外の安全を確かめに行きましょう」
と知佳が言って錬を見た。

子どもたちの視線さえなければ、断っていたはずだが、錬は知佳の言葉に従うことにした。
「じゃあ」
と錬は小銃を取り、知佳にも渡した。

「子どもが普通に小銃を取るのはどうだろう?」と沙羅は思ったけど口には出さなかった。

知佳はホルダーを着けると拳銃を2丁装着して、子ども達に向けてポーズを決めた。
「知佳ちゃんカッコ良い!」
知佳はにんまりとした後、
「行きましょう」
と錬に告げた。

自分を見せることに慣れている知佳を羨ましく思っても、錬には何もする事なんて出来なかった。

「まあ、それはそれ」

2人が覚悟を決め、宇宙船のドアが開くと、外から美味しい空気が入ってきた。
自然の空気だ。どこかに木々や自然があるのかも知れない。

2人は見送られながら外に出た。

うん、空気が違う!

錬と知佳は目を合わせた。
2人が深呼吸をして、一息つくと、背後の宇宙船から悲鳴が聞こえた。

「えっ!?何で!?」

同時に錬と知佳は振り向いた。
沙羅と子どもたちの背後で、機械の兵隊たちが動き出していた。

知佳は銃に手を握ったが、沙羅と子ども達がいては撃つことは出来なかった。
錬は小銃を構え、沙羅の背後の機械の兵隊に狙いを付けた。

「大丈夫」
錬は呟いた。



つづく 



人類たち

【沙羅】この惑星に漂流してきた人類の少女14歳。錬の兄が好き♪
【錬】ゲーム好きな人類の少年13歳。
【知佳】躍るのが好きな12歳の少女


【ソフィー】アローン兵と唯一リンクするアンドロイド
【デューカ】ソフィーと同じ職場で働いていた同僚

【参謀1号】ソフィーに忠誠を尽くす参謀タイプのアローン兵
【参謀2号】参謀1号の予備

機械兵には禁止されている人工知能を、獲得しつつある。

【タムラ】鉱物資源企業団公社のナンバー2


【評議会議長】 人類及びアンドロイド内の人類の記憶を消そうと企む
【リサ】    議長の思い出の人に似せたアンドロイド・主席秘書官

  
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