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7章 それぞれの思惑

15話 温かいお布団に潜って、話し合い。

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『人類を乗せた宇宙船』


「宇宙って広い」

錬は宇宙船ブリッジで1人呟いた。
1人でいるには、ちょっと広すぎる空間だ。

沙羅と知佳は、お風呂に入っているか、もう眠ってしまったのかは解らない。

「僕はみんなを守るために、1人、ブリッジで監視活動を行っている」
そう思うと、責任感が湧いてくる。

その横で動きを止めたアローン兵が、立ち尽くしていた。

「どうするんだろう?こいつ。いや、僕たちこそどうするんよ!」

そのうち食料も燃料も尽きる。

「まあ、知佳が何か考えるだろう」




異空間移動以来、未だ冷凍睡眠ボックスで9人の子どもが眠っていた。

冷凍睡眠装置の側にあるダブルベットで、沙羅と知佳は温かいお布団の中に潜って、話し合っていた。
沙羅の香りがする布団の中はとても安心する。
その安心感が、本来は繊細な知佳の心を柔らかく包んでくれている。
それがとても大切な事は、知佳自身知っている。

繊細な自分が本当の自分なのか、気楽に踊っている自分が本当の自分なのかは解らないけど、気楽に踊っている自分は好きだ。

「冷凍中の子たち起こさなくて、大丈夫かな?」

心配する沙羅に、知佳は、

「食べ物も限られてるし、寝かしておいた方が良いんじゃない」

「そうね」

「後、錬ちゃんが、あのアンドロイドを粉々にしちゃった以上、あの星のアンドロイドたちは、もう私達を受け容れてはくれないと思う」

「シャーマンの言ってたサインの話はどう思う?」

「私たちを助けてくれるって組織?」

「そう」

「この動かないポンコツロボットが関係してるかも。
何かの理由が合って、今は動けないだけなのかも知れない。
でも、私はあんまりあの話は信じてない。
だって、ここは何光年も遠くの星な訳でしょう。
だからと言って、外宇宙には竜族がうようよしてるし、この宇宙船じゃ突破出来ないし」

知佳が話している間、沙羅はじっと知佳の目を見ていた。
年下のなのに、信頼されている感じに、知佳はいつも嬉しさがこみ上げる。



「接近者あり」を示すサイレンが、宇宙船内に鳴り響いた。

レーダーモニターを見ると、3個の光が前方から、急速に近づいてきていた。

沙羅と知佳はパジャマのまま、ブリッジに走った。

「アンドロイドの追手?」

錬はゲームをする時見せる微笑をもらしながら

「うん、でも大丈夫、3機なら、勝てる」




つづく



【人類たち】


沙羅(サラ)14歳

錬(レン) 13歳

知佳(チカ)12歳








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