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7章 それぞれの思惑
11話 サマルカンド陥落
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『サマルカンド・鉱物資源企業団公社ビル・最上階会議室』
銃撃戦の轟音の中、ソフィーとデューカは視線を交わした。
「うちの子(アローン兵)たちと通じない?」
「アローン兵の援軍は期待できない?」
「解らない」
「なるほど、ソフィーを仕留めて、アローン兵を頂こうって策謀か」
幾つかの裏切りが充満する会議室に、耳障りなノイズが流れた。
音として認知できない分、いらつきが増す。
ソフィーとアローン兵との通信を遮断する妨害電波の類だろう。
「まったく、いらつく感覚だぜ!
そこまで用意していると言う事は、最初からそのつもりだったのか?
さて、どうする?」
さすがに150階の最上階から飛び降りたら、機体は粉々だろうし。
デューカの不安とは対照的に、ソフィーは楽しげだった。
「君、シュールだね」
頭部を吹き飛ばされたにも関わらず、拳銃を撃とうとする警備兵の手から、ソフィーは拳銃を奪った。
内務省のエミーが引き連れてきた警備兵は、
「無駄な抵抗は止めろ!罪を重ねるだけだ!」
と、デューカの乱射に応戦しつつ叫んだ。
ソフィー・デューカ 対 警備兵の銃撃戦の最中、コーリーと銀次、そして鉱物資源企業団公社幹部は会議室から逃げ出した。
デューカが、コーリーに銃口を向けると、警備兵と応戦していたソフィーが
「止めて、まだ利用価値はある!」
「ええええー!何故!?」
デューカは、素早く銃口を逸らし地団駄を踏んだ。
そして、コーリーの代わりに警備兵が弾幕を浴び、崩れ落ちた。
その直後、デューカのマシンガンが弾ぎれしてしまった。
マシンガンの乱射が止まり、会議室は静まり返った。
「あっ・・・」
「何も考えずに撃ちまくるから・・・愚かな」
エミーの声が聞こえた。
「観念しろ犯罪者ども!銃を置いて投降しろ!」
勝ち誇った声とともに、3つの出入り口から、警備兵10機が、薄ら笑いながら、ソフィーとデューカに近づいてきた。
ソフィーはそっと拳銃を置いて
「エミーさん、私が拳銃を置く意味解る?」
と、この状況にも関わらずで楽しげに問いかけた。
>思考回路が破損した?
と誰もが思った。と同時刻。
警備室の警備兵が、一階ロビーの銃撃に気付き、エレベーターの電源を切る前に、アローン兵10機が、高速エレベータで最上階まで一気に上がり、あるじ・ソフィーがいる会議室へと突入して来た。
そのアローン兵達によって、警備兵10機の、勝ち誇っていた薄ら笑いは一瞬でカーボンの破片と化していた。
デューカは笑顔を浮かべた。
「おお!こいつら、来やがった。
でも何で?何で?何で?妨害電波は?」
デューカの問いに、ソフィーは「えへっ」って顔をしただけだった。
その表情を、デューカが大好きなのは言うまでもない。
それにしても、アローン兵の情報処理速度が半端なかった。
「どんなCPU使ってんねん!お前ら」
一瞬の差で、警備兵は反応する前に破壊されていった。
CPUだけではなく、戦闘用プログラムもとんでもないモノが組み込まれているはずだ。
エミーの機体は破壊されたが、頭部思考回路は生きていた。
その首に向かって、ソフィーは
「私が拳銃を置く意味の正解はね。私自身が撃つ必要がないからでした♪」
ソフィーは「えへっ」って顔をした。
その表情を、エミーが大嫌いなのは言うまでもない。
そして、エミーの思考回路は破壊された。
アローン兵による鉱物資源企業団公社ビル占拠作戦は、僅か2時間ほどで完了した。
公社ビルでの戦闘を知ったサマルカンド防衛師団の装甲騎兵が駆けつけたが、物の数ではなかった。
サマルカンドに派遣されていた精鋭の装甲騎兵は、渓谷へおびき出し既に殲滅していた為、アローン兵に対処できるほどの戦力は、ソフィーの予想に反して、残っていなかった。
「手荒な事は、したく無かったのに」
占拠完了の報告を受けたソフィーは、本当にそう思ってるのか?と疑う程晴れ晴れとしていた。
『首都・評議会議長室』
ソフィーに拠る公社ビル占拠の情報は、首都・評議会にいる議長の元へ知らされた。
主席秘書のリサに聞かされた議長は
「実質上、サマルカンドは反乱軍の手に落ちたと言う事か」
と呟くと、深い思考の底へ自らの意識を落としていった。
サマルカンド陥落の情報は、情報封鎖によって、サマルカンド以外の住民が知ることは無かった。
つづく
【ソフィー】アローン兵と唯一リンクするアンドロイド
【デューカ】ソフィーと同じ職場で働いていた同僚
【コーリー】天文学博士。ソフィーやデューカを反乱分子に勧誘した。
【銀次】銀色の髪の大型作業用アンドロイド コーリーの助手
【エミー】内務省サマルカンド支局の一般職員 コーリーとは訳あり
【評議会議長】人類及びアンドロイド内の人類の記憶を消そうと企む
【リサ】主席秘書官
【カーン】陸軍所属の少佐 対竜族戦争の英雄
【アローン兵】元内務省所属 自意識を持たない戦闘用アンドロイド その性能と無慈悲さにより、軍人からも恐れられている。現在、ソフィーとのみ情報回線が繋がっている
銃撃戦の轟音の中、ソフィーとデューカは視線を交わした。
「うちの子(アローン兵)たちと通じない?」
「アローン兵の援軍は期待できない?」
「解らない」
「なるほど、ソフィーを仕留めて、アローン兵を頂こうって策謀か」
幾つかの裏切りが充満する会議室に、耳障りなノイズが流れた。
音として認知できない分、いらつきが増す。
ソフィーとアローン兵との通信を遮断する妨害電波の類だろう。
「まったく、いらつく感覚だぜ!
そこまで用意していると言う事は、最初からそのつもりだったのか?
さて、どうする?」
さすがに150階の最上階から飛び降りたら、機体は粉々だろうし。
デューカの不安とは対照的に、ソフィーは楽しげだった。
「君、シュールだね」
頭部を吹き飛ばされたにも関わらず、拳銃を撃とうとする警備兵の手から、ソフィーは拳銃を奪った。
内務省のエミーが引き連れてきた警備兵は、
「無駄な抵抗は止めろ!罪を重ねるだけだ!」
と、デューカの乱射に応戦しつつ叫んだ。
ソフィー・デューカ 対 警備兵の銃撃戦の最中、コーリーと銀次、そして鉱物資源企業団公社幹部は会議室から逃げ出した。
デューカが、コーリーに銃口を向けると、警備兵と応戦していたソフィーが
「止めて、まだ利用価値はある!」
「ええええー!何故!?」
デューカは、素早く銃口を逸らし地団駄を踏んだ。
そして、コーリーの代わりに警備兵が弾幕を浴び、崩れ落ちた。
その直後、デューカのマシンガンが弾ぎれしてしまった。
マシンガンの乱射が止まり、会議室は静まり返った。
「あっ・・・」
「何も考えずに撃ちまくるから・・・愚かな」
エミーの声が聞こえた。
「観念しろ犯罪者ども!銃を置いて投降しろ!」
勝ち誇った声とともに、3つの出入り口から、警備兵10機が、薄ら笑いながら、ソフィーとデューカに近づいてきた。
ソフィーはそっと拳銃を置いて
「エミーさん、私が拳銃を置く意味解る?」
と、この状況にも関わらずで楽しげに問いかけた。
>思考回路が破損した?
と誰もが思った。と同時刻。
警備室の警備兵が、一階ロビーの銃撃に気付き、エレベーターの電源を切る前に、アローン兵10機が、高速エレベータで最上階まで一気に上がり、あるじ・ソフィーがいる会議室へと突入して来た。
そのアローン兵達によって、警備兵10機の、勝ち誇っていた薄ら笑いは一瞬でカーボンの破片と化していた。
デューカは笑顔を浮かべた。
「おお!こいつら、来やがった。
でも何で?何で?何で?妨害電波は?」
デューカの問いに、ソフィーは「えへっ」って顔をしただけだった。
その表情を、デューカが大好きなのは言うまでもない。
それにしても、アローン兵の情報処理速度が半端なかった。
「どんなCPU使ってんねん!お前ら」
一瞬の差で、警備兵は反応する前に破壊されていった。
CPUだけではなく、戦闘用プログラムもとんでもないモノが組み込まれているはずだ。
エミーの機体は破壊されたが、頭部思考回路は生きていた。
その首に向かって、ソフィーは
「私が拳銃を置く意味の正解はね。私自身が撃つ必要がないからでした♪」
ソフィーは「えへっ」って顔をした。
その表情を、エミーが大嫌いなのは言うまでもない。
そして、エミーの思考回路は破壊された。
アローン兵による鉱物資源企業団公社ビル占拠作戦は、僅か2時間ほどで完了した。
公社ビルでの戦闘を知ったサマルカンド防衛師団の装甲騎兵が駆けつけたが、物の数ではなかった。
サマルカンドに派遣されていた精鋭の装甲騎兵は、渓谷へおびき出し既に殲滅していた為、アローン兵に対処できるほどの戦力は、ソフィーの予想に反して、残っていなかった。
「手荒な事は、したく無かったのに」
占拠完了の報告を受けたソフィーは、本当にそう思ってるのか?と疑う程晴れ晴れとしていた。
『首都・評議会議長室』
ソフィーに拠る公社ビル占拠の情報は、首都・評議会にいる議長の元へ知らされた。
主席秘書のリサに聞かされた議長は
「実質上、サマルカンドは反乱軍の手に落ちたと言う事か」
と呟くと、深い思考の底へ自らの意識を落としていった。
サマルカンド陥落の情報は、情報封鎖によって、サマルカンド以外の住民が知ることは無かった。
つづく
【ソフィー】アローン兵と唯一リンクするアンドロイド
【デューカ】ソフィーと同じ職場で働いていた同僚
【コーリー】天文学博士。ソフィーやデューカを反乱分子に勧誘した。
【銀次】銀色の髪の大型作業用アンドロイド コーリーの助手
【エミー】内務省サマルカンド支局の一般職員 コーリーとは訳あり
【評議会議長】人類及びアンドロイド内の人類の記憶を消そうと企む
【リサ】主席秘書官
【カーン】陸軍所属の少佐 対竜族戦争の英雄
【アローン兵】元内務省所属 自意識を持たない戦闘用アンドロイド その性能と無慈悲さにより、軍人からも恐れられている。現在、ソフィーとのみ情報回線が繋がっている
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