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7章 それぞれの思惑

7話 生きてる?

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『地下水路』

地下水路の中は光1つ無い暗闇に包まれていた。
その中を、アローン兵は成す術も無く、流れていった。

人の様に溺れ死ぬことはないが、永遠に水の底に沈み、沈没船の様に錆びて行くことはある。


(優先順位2)の思考回路上に予想外に強い水の流れに、防水性に対する不安がよぎった。
主に市街戦を想定して作られたアローン兵に、長時間、水中で耐えられる程の、防水性が施されているとは思えなかった。

強力な宇宙放射線には耐えられると言うのに。


>情勢は不確定要素だらけか・・・


水路の水の流れは、一気に加速し始めたと思うと、突然、視覚に自然光の眩い光が飛び込んできた。
アローン兵は、100メートルはある大きなプールに流れ着いていた。

大理石で作られたプールは、多少のひび割れはあったが、プールとしての機能は維持していた。


>一見、廃墟の様に見えるが、確かに誰かの手が入っている感。



プールの周辺には人類が好きそうな、レジャー感はなく、見えるものと言えば、殺風景な壊れかけの建物だけだった。

アローン兵は、まるで泳ぎとは言えないぎこちない動きで、プールから陸へ上がろうともがいた。

(優先順位2)は、再び「泳ぎ方」の情報を自らの記憶装置から探したが、やはり該当する情報は見つからなかった。

>内務省のメインコンピューターに接続していれば、幾らでも見つかったはずだ。

機械の兵隊はもがけばもがくほど、水深がどれだけあるのかも解らない、プールの底とへ沈んでいった。
見上げると何かが、悠々と泳いでいた。


>巨大な魚?


(優先順位2)が、電子的に思考した後、自身とプールに沈んでいくアローン兵の記憶装置及びプログラムに、激しい異変を感じた。


>これか、異変の原因は・・・・


(優先順位2)は、巨大な魚の正体を、データファイルから探した。

魚のデータなど、機械の兵隊のアローン兵の記憶装置内に有る訳ない。

いつのころからか、アンドロイド達は、エラーを引き起こす塩害の原因の海を避けるようになった。
そして少しずつ海の存在を無い物として扱うようになっていった。


(優先順位2)は(優先順位1)に連絡し、(優先順位1)からソフィーに伝えられた。


数秒後、ふっと(優先順位2)の思考回路上にソフィーの存在を感じた。
人間味を残すアンドロイドの感覚はとても心地よかった。


「これはイルカだね、地上では死滅した哺乳類が海では生きていのかも」

(優先順位2)の思考回路上のソフィーは返答した後、微かに残り香の様な感覚を残し、その存在はふっと消えた。



>イルカ


イルカの動きは、哺乳類独特の躍動感に満ちていた。


>これが生きてるという事か。



つづく



いつも読んで頂き、ありがとうございます。
毎週、日曜日更新でございます。ヾ(*゜∀゜*)ノキャッキャッ♪



【予備の参謀兵タイプのアローン兵(優先順位2)】
青い視野レンズの参謀兵(優先順位1)の予備の参謀機械兵

プログラム上(優先順位1)の命令には、逆らえない仕様になっている。

青い視野レンズの参謀兵(優先順位1)とは、
アルゴリズム(計算の処理手順)が違う仕様になっている。

【ソフィー】反乱軍サインのリーダー
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