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7章 それぞれの思惑

5話 >..はず(小声)

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『サマルカンド・鉱物資源企業団公社ビル・最上階会議室』


太陽風警報が出ていらしい。
太陽から発せられるプラズマは、機械生命体の機器に多大な影響を与え、故障の原因にもなる。

そして、俗説だが、強い太陽風は、機械生命体であるアンドロイドたちにの機器を興奮させるらしい。


「人類が、宇宙ステーション・アントンから脱出したぜ!!!!!」

銀髪のアンドロイド銀次の甲高い声が会議室に響いた。

会議室にいるソフィー、デューカ、コーリーと公社幹部の視線が、銀次に集まると、さらに甲高い声で叫んだ。


「警備兵を粉砕!
それを口実にレーゲンが人類撃滅の決議案を提出した!
やるね~人類、ひゃは♪」



対照的に専務理事のタムラは、嘆いた顔つきをしながら、

「愚かな人類め!
待てよ・・・と言う事は宇宙では既に追撃の部隊が、出撃しているはずだ。今、人類に消えられたら、我々の計画どころか、計画の存在意義すら失われてしまう。
我々はただの古いレコードを抱えた機械に後戻りだ。なんて事だ!」


何、嘆いてるの?馬っ鹿じゃね―の?って表情を隠す気すらないコーリーは周囲を見渡し


「慌てるな、人類にはレッドイーグル隊が付けてある! > ..はず(小声)」


「レッドイーグル隊が?」


「人類自らが警備兵を粉砕した事は、予想外だったが、どちらにせよ人類は評議会と対立することになっている。
計画通りだ、気にするな!すべてが上手く行く!!!! >  ..はず(小声)
人類は今頃レッドイーグル隊の護衛元、評議会が手を出せない安全な場所へ避難している > ..はず(小声)」


コーリーが小さく呟いた語尾の【> ..はず(小声)】をソフィーとデューカは、聞き洩らさなかった。
広大な戦略を元に考えているコーリーにとって、小さな戦術など大して意味はない。
戦略的に後日取り返しがつく事案なのだ。

対して、現場の者にとって戦術がすべてだ。

それを踏まえた上での【> ..はず(小声)】


ソフィーはデューカと視線を交わすと

「計画ね。少しくらいあなたたちの計画とやらを、聞かせてもらえない?

何も知らされずに、戦うだけ戦わされて使い捨てにされるなんて、やってられない」


コーリーとタムラは視線を交わした。


ソフィーとデユーカも再び視線を交わして

「何だったら、アローン兵引き連れて評議会に付いたって良いのよ」

嘆きのタムラは

「待ってくれ、この種の問題は、総裁の指示を仰がないと」

と言いかけたのをコーリーが制止して

「解った。話そう。皆の衆」

コーリーは、相変わらず、みんなマジになって馬っ鹿じゃね―の?って顔をしていた。


「こいつ真面目な表情が出来ないのか?壊れてんじゃねーの?」生真面目なデューカは思考した。





『宇宙ステーション・アントン』




「レッドイーグル隊、銃撃で粉砕された者を除き、全機拘束完了しました。」

ヤーシャは、上司の管理官ケイに告げた。

管理官ケイは、拘束されたレッドイーグル隊のアンドロイドたちを、静かに見下ろした。
それもかなり嬉しそうに。
退屈な時代が続いた性なのか、太陽風が強いせいなのかは解らないが。


「裏切り者はどこにでもいるものだ。
可哀想な人類は、今頃何の護衛もなく宇宙を彷徨ってる事だろうよ」







つづく


いつも読んで頂き、ありがとうございます。
毎週、日曜日更新でございます。ヾ(*゚∀゚*)ノキャッキャッ♪



【ソフィー】特殊機械兵と唯一リンクするアンドロイド
【デューカ】ソフィーと同じ職場で働いていた同僚

【コーリー】天文学博士。ソフィーやデューカを反乱分子に勧誘した。
【銀次】銀色の髪の大型作業用アンドロイド コーリーの助手
【タムラ】鉱物資源企業団公社のナンバー2

【ケイ】宇宙ステーション・アントンの管理官
【ヤーシャ】ケイの忠実な部下

【レッドイーグル隊】宇宙軍所属の特殊部隊

【評議会議長】 人類及びアンドロイド内の人類の記憶を消そうと企む

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