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6章 人類の反撃

9話 頼りにしてるよ

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『宇宙ステーション・アントン・物資搬入口』



物資搬入口に入る前に、沙羅の手が錬の肩に触れ、沙羅の目が錬の目を見つめた。

「頼りにしてるよ・・・錬」

サラは言った。



出来の悪い子どもと言われ続けた錬が、生まれて初めて頼りにされた瞬間だ。

錬は軽く頷いて「頼られるのも悪くはない」と思った。


錬は、ベルトにつけた無反動銃を手で確認すると「沙羅に危害を加えたら僕が許さない」と心に誓った。

直後、イーグル隊の持つライフル銃を見て多少怖気づいたが、誓いは変わらなかった。



レッドイーグル隊の視線が、沙羅と錬の一挙一動を監視していた。

人の視線と違い、アンドロイドの視線は複数の監視カメラに監視されているようで、不安にさせた。

その視線の奥に、アンドロイド個人個人に意識があることは理解できたが、プログラムに過ぎないアンドロイドの心に、一見礼儀正しいとは言え、一抹の不安を感じた。

物資搬入口の奥には、大量のコンテナが置かれていた。

イーグル隊の一機が、コンテナを開き中身を沙羅と錬に見せた。

コンテナの中には、まだ皮に包まれたままのとうもろこしが詰まっていた。

錬はとうもろこしを1つ受け取ると、少し皮をむいて沙羅に見せた。


沙羅と錬は久しぶりの食べ物らしい食べ物に、子どもらしく微笑んだ。

微笑んでいる沙羅の耳元でイーグル隊の一機が

「我々イーグル隊は、人類の味方です。」

と囁くように言った。沙羅は咄嗟にその一機の機械的な目を覗き込んだ。
でも、それはカメラのレンズにしか見えなかった

心の不安を取り除くだけの効果はなかった。



つづく


いつも読んで頂き、ありがとうございます。
毎週、日曜日に更新です O(≧∇≦)O イエイ!!


【人類たち】

沙羅(サラ)14歳
錬 (レン)13歳
知佳(チカ)12歳



【宇宙ステーション・アントンのクルー】

ケイ    管理官
ヤーシャ  ケイの側近


レッドイーグル隊 鷲の紋章を付けた精鋭
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