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6章 人類の反撃

8話 ただ地味で無口な女子

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『宇宙ステーション・アントン』

「水と食料の搬入の準備が出来ました。
我々から伺いますか?
それともあなた方がこちらに来ますか?」

映像無線から、ニヤけたヤーシャが聞いた。


「こちらから伺います」

沙羅は返答した。そして

「錬も宇宙服着て、一緒に来て」

「えー!?」

錬が即答で拒否ると、知佳の視線を浴びた。
表情はなく、何を思っているのかは解らなかったが、全開のおでこが光を反射して輝いた。

錬はそのおでこをひと目見た後に、知佳と視線を交わした。
知佳は視線を逸らすことなく、錬の目を直視していた。

錬はその直視の意味を探ったが、解答は見つけさせなかった。

僕は、知佳の視線に、一体何を求めているのだろう?


「さあ、行くよ、錬」

結局、錬は沙羅の言葉に従った。


気密室で空気を抜くと、2人はふわりと無重力空間に浮いた。

バランスを崩した錬の手を、沙羅が握って引き戻した。

星を追われ、難民キャンプを逃げ出して以来ずっと、錬は1つ年上で14歳の沙羅に助けられてばかりいた。

錬は何も出来ない自分に苛つきつつ、沙羅に小声で

「ありがとう」

と、ひとり言の様に言った。

聞こえたのか、沙羅は優しく微笑んでくれた。



『宇宙港』

沙羅と錬が宇宙船外に出ると、早速、鷲の紋章を誇らしげにつけたレッドイーグルが近づいて来て

「ご案内します」

と言うと沙羅と錬を囲んだ。

宇宙船の窓から子ども達が、心配そうに見つめていた。
沙羅は「大丈夫だよ」と子供たちに笑顔で手を振って見せた。



錬が知っている沙羅は、こんなに世話好きで優しいイメージはなかった。
ただ地味で無口な女子。





つづく

いつも読んで頂き、ありがとうございます。
毎週、日曜日に更新です O(≧∇≦)O イエイ!!


【人類たち】

沙羅(サラ)14歳
錬 (レン)13歳
知佳(チカ)12歳



【宇宙ステーション・アントンのクルー】

ケイ    管理官
ヤーシャ  ケイの側近


レッドイーグル隊 鷲の紋章を付けた精鋭


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