『遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

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6章 人類の反撃

7話 それを言う事によって失われるもの

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5000年前、地上の空に君臨していた鷲。

既に伝説上の鳥となっていたが、宇宙ステーション・アントンの警備隊レッドイーグルの背には、誇らしげな鷲の姿が紋章として、在りし日の鋭い目で周囲を見つめていた。


練習用の藍色のレオタード姿の知佳の足が、ゲームに熱中しているの錬の肩に乗った。
知佳のふくらはぎが錬の頬に当たった。

「鷲?この星に鷲がいるのかな?」

知佳は、足を錬の肩に乗せたまま聞いた。
錬はチラッと知佳のすらりと伸びる綺麗な足を確認した。

知佳と錬は学年的には同じ学年で、宇宙船内でも、同じグループと見なされることが多い。

「ん?」

「ん?」

錬は目のやり場に困るのだが、それを言う勇気は無かった。
または、それを言う事によって失われるものを恐れたのかも知らない。



レッドイーグル隊が宇宙船の扉口に取り付くと、扉を開けるよう管制官が沙羅に扉を開けるように要請した。

「正気?」

沙羅は焦った。




『アントン・管制室』

宇宙ステーション・アントンの管理官ケイが待つ、管制室に着いたばかりのヤーシャが入ってきた。

ヤーシャは

「無事、任務完了・・・」

と言いかけたが、ケイはその言葉を遮った。

「まだだ、奴ら往生際が悪い、扉を開けようとしない」



管制室の映像無線モニターに沙羅が映っていた。
目は凛々しく輝いてはいるが、表情はまだ幼かった。

「10数歳か」

5000年も生きた・・・いや、存在しているケイにとっては、短すぎる時間だ。


モニター内の沙羅は、強い視線を投げかかると、

「外には空気が無いから、開けられない」

と伝えてきた。


「空気?」

ケイは独り言の様に呟いた。


ケイとヤーシャは、記憶装置の奥にある遠い記憶を思い出した。

2機のアンドロイドは、遠い昔に肺を満たし体を駆け巡った空気の匂いを思い出すと、微かに思い出し笑いをした。


「そう言えば、我々も昔は呼吸をしていたな」

「はい、懐かしい感覚です。もう一度呼吸をしてみたいものです」

「呼吸か、まあそれ故に、宇宙空間での自由が効かない。それはそれで面倒だが・・・」




つづく



人類たち

沙羅(サラ)14歳
錬 (レン)13歳
知佳(チカ)12歳


いつも読んで頂き、ありがとうございます。
毎週、日曜日に更新です O(≧∇≦)O イエイ!!
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