105 / 243
6章 人類の反撃
4話 女子受けがいい可愛い宇宙船
しおりを挟む
『大気圏外・人類を乗せた宇宙船』
人類が乗っている宇宙船は、スサノオ級円盤型宇宙船。
この銀河系では、汎用性がすぐれ、比較的故障も少なく、どこの惑星でも部品が揃うので、重宝されている宇宙船だ。
宇宙船の船体の曲線が美しく、女子受けがいい可愛い宇宙船でもある。
サラもお気に入りだ。
その可愛い宇宙船に、宇宙ステーションから出てきた宇宙船が近づいてきた。
スサノオ級円盤型宇宙船と同規模の、似たような円盤型の宇宙船だ。
ただ、あまり可愛いとは言えない宇宙船だ。
宇宙船内にいるアローン兵は微動だにせず、動く気配は無かった。
対照的に、子ども達は宇宙船内を、無邪気に走り回っていた。
映像無線受信を告げるランプが点くと同時に、子ども達が
「サラおねえちゃん、無線受信、無線受信」
と無邪気に叫んだ。
無邪気な子ども達を見ながら、14歳のサラは羨ましく感じた。
大人がいれば、14歳のサラだって、この子達の様に無邪気に振舞っていたはずだ。
今のサラが深刻な表情を崩せない理由は、この宇宙船内で一番年長ってだけの理由だ。
サラの不安を察してか、13歳の少年のロクが神妙な顔してすぐ隣に立っていた。
ちょっと頼もしい。
サラが映像無線の回線を開くと、アンドロイドにしては表情が明るい宇宙ステーション・アントン所属のヤーシャが出た。
スクリーンに映るヤーシャの姿は、人類そのものだった。
不自然さもなく、アンドロイドと言わなければ、きっと気づかない。
でも何がって訳じゃないけど、心のどこかで違和感は感じた。
「ご機嫌いかかですか?」
ヤーシャは愛想良く微笑んだ。そして、表情を謝意の表情に変え、
「地上では宇宙港職員の手違いが在った様で失礼しました」
と謝罪した。
「手違いで、職員の手違いで爆発が起こるの?」
とまとわりつく子どもを抱きかかえながら、サラは言った。
「今は謝る他、ございません。
謝意として、あなた方が要望していた食料を持参しました。
お気に召すが解りませんが・・・。」
と言うと、とうもろこしを見せた。
それを見た宇宙船の子どもたちが
「とうもろこしだ!食べたーい」
と歓声を上げた。
「爆発による破損の修理も致しますので、宇宙ステーション・アントンに寄港して頂けないでしょうか?」
「それが条件って事?」
「理解が早くて助かります」
既に宇宙船内の食料は、底を着き始めている。
だからといって、宇宙船を爆破しようとした連中を信じられる?
サラは抱きかかえる子どもの柔らかさと体温を感じながら、じっと考えた。
「焼きとうもろこしは、美味しいよね」
隣でロクが言ったので、サラは
「そうね」
と答えた。
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
毎週、日曜日に更新です O(≧∇≦)O イエイ!!
人類が乗っている宇宙船は、スサノオ級円盤型宇宙船。
この銀河系では、汎用性がすぐれ、比較的故障も少なく、どこの惑星でも部品が揃うので、重宝されている宇宙船だ。
宇宙船の船体の曲線が美しく、女子受けがいい可愛い宇宙船でもある。
サラもお気に入りだ。
その可愛い宇宙船に、宇宙ステーションから出てきた宇宙船が近づいてきた。
スサノオ級円盤型宇宙船と同規模の、似たような円盤型の宇宙船だ。
ただ、あまり可愛いとは言えない宇宙船だ。
宇宙船内にいるアローン兵は微動だにせず、動く気配は無かった。
対照的に、子ども達は宇宙船内を、無邪気に走り回っていた。
映像無線受信を告げるランプが点くと同時に、子ども達が
「サラおねえちゃん、無線受信、無線受信」
と無邪気に叫んだ。
無邪気な子ども達を見ながら、14歳のサラは羨ましく感じた。
大人がいれば、14歳のサラだって、この子達の様に無邪気に振舞っていたはずだ。
今のサラが深刻な表情を崩せない理由は、この宇宙船内で一番年長ってだけの理由だ。
サラの不安を察してか、13歳の少年のロクが神妙な顔してすぐ隣に立っていた。
ちょっと頼もしい。
サラが映像無線の回線を開くと、アンドロイドにしては表情が明るい宇宙ステーション・アントン所属のヤーシャが出た。
スクリーンに映るヤーシャの姿は、人類そのものだった。
不自然さもなく、アンドロイドと言わなければ、きっと気づかない。
でも何がって訳じゃないけど、心のどこかで違和感は感じた。
「ご機嫌いかかですか?」
ヤーシャは愛想良く微笑んだ。そして、表情を謝意の表情に変え、
「地上では宇宙港職員の手違いが在った様で失礼しました」
と謝罪した。
「手違いで、職員の手違いで爆発が起こるの?」
とまとわりつく子どもを抱きかかえながら、サラは言った。
「今は謝る他、ございません。
謝意として、あなた方が要望していた食料を持参しました。
お気に召すが解りませんが・・・。」
と言うと、とうもろこしを見せた。
それを見た宇宙船の子どもたちが
「とうもろこしだ!食べたーい」
と歓声を上げた。
「爆発による破損の修理も致しますので、宇宙ステーション・アントンに寄港して頂けないでしょうか?」
「それが条件って事?」
「理解が早くて助かります」
既に宇宙船内の食料は、底を着き始めている。
だからといって、宇宙船を爆破しようとした連中を信じられる?
サラは抱きかかえる子どもの柔らかさと体温を感じながら、じっと考えた。
「焼きとうもろこしは、美味しいよね」
隣でロクが言ったので、サラは
「そうね」
と答えた。
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
毎週、日曜日に更新です O(≧∇≦)O イエイ!!
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?
俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。
この他、
「新訳 零戦戦記」
「総統戦記」もよろしくお願いします。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる