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5章 最近、強くなった太陽風のせいかも知れない。
8話 我々とは規格が違う。
しおりを挟む『サマルカンド・鉱物資源企業団公社ビル』
「空軍のパトロール機の報告によりますと、
アローン兵1000機がサマルカンド郊外の峡谷地帯に放置されている様です。」
直通回線がハミルに伝えた。
「放置?アローン兵は動かないのか?」
「はい。スクラップ前の機械の様に、転がっていいます」
ハミルは鉱物資源企業団公社ビルの最上階から、まだ、騒乱が収まらない夕日が照らすサマルカンド市内を、見つめ考えた。
「アローン兵の故障か?電源が切れたのか?それとも罠か?」
「空軍が攻撃の許可を求めておりますが。」
馬鹿な!
アローン兵1機の価格は非公開だが、ハミル自身の機体の数百倍はするはずだ。
アローン兵の竜族撃退作戦時の処理速度の速さは、先進的な竜族の兵器を圧倒していた。
我々とは規格が違う。
それは、評議会の信頼度の表れであり、そして、軍属をはじめ一般アンドロイドへの不信の表れだった。
そんな高価な機体を、無意味に破壊しては、こちらの破滅を意味する。
「まて、空軍には上空で待機させろ。」
ハミルは命じると、直通回線を切った。そして、副官に
「サマルカンドに展開している、装甲騎兵を集めろ。」
「民兵の掃討作戦は、まだ完了しておりません。」
「素人集団の民兵など何時だって掃討できる。
人工知能を搭載していないアローン兵が、なぜ脱走したのかを知る方が先だ。
装甲騎兵が集まり次第、私も峡谷地帯へ向かう。」
『サマルカンド郊外・小高い丘』
デューカは、夕日に照らされた空を見上げた。
「俺達、何してんだろう。
はたから見たら玩具の兵隊が、カチャカチャと戦争ごっこをしているように、見えないだろか?
誰も死なない。誰も傷つかない。
ただ、アンドロイドと呼ばれる記憶装置を積んだ、機械の玩具が壊れるだけ。
意味のない事は、もう終わりにしてぇ」
つづく
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