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5章 最近、強くなった太陽風のせいかも知れない。

4話 潤いに満ちた記憶たち

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『惑星・ハデス』




チタン・ホウ素・ケイ素・亜鉛等等の、


セラミック鉱山を有する惑星ハデスでは、


流刑罪を言い渡され記憶を奪われたアンドロイドたちが、


何時終わるとも解らない鉱山労働に従事していた。


掘り尽くされた鉱山を見渡す丘に建てられた、


鉱山管理局の一角にある記憶図書館


受刑者から奪った記憶を、


管理する記憶図書館の司書アンは、


最も古い記憶の整理をしていた。

いずれ受刑者に返す予定の(返された事は一度も無い)記憶は、


マイクロフィルムに記録されていた。


「4800年前・・・」



この時代の記憶となると、


まだ人類だった頃の鮮明で潤いに満ちた記憶を、


読み取ることが出来た。


人類の鮮明な記憶は、アンドロイド・アンの心に、潤いをもたらした。


アンに取ってそれは誰にも言っていない、密かな快感となっていた。


マイクロフィルムのラベルには『受刑者ナンバー555』と記されていた。

既に、アンドロイドとしてもこの世に存在しない、ナンバーの受刑者だ。


マイクロフィルムの中に仕舞われた記憶の記録の中で、


『受刑者ナンバー555』は妻を持ち二人の子どもがいた。



『受刑者ナンバー555』は、記憶の中で子ども達の、


宇宙船での旅立ちを見送った後に逮捕され、


流刑惑星ハデスに送られてきた。


罪状は臨時政府に対する反乱罪。4800年前に最も多い罪状だ。




つづく



いつも読んで頂き、ありがとうございます。
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