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5章 最近、強くなった太陽風のせいかも知れない。

2話 単純かつ、想像力の欠片も無い発想

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『西都・サマルカンド』


ハミルと繋がった扇動者に煽られた民衆は、装甲騎兵に押され、


鉱物資源企業団公社ビル前の広場に向かって敗走を始めた。



民衆の動きは、明らかに何者かに誘導されていた。


その何者が何者なのか、考えるまでもない。



鉱物資源企業団公社ビルの最上階総裁室いた総裁は、


恐怖に震え、



「ビルのゲートを閉めろ!デモ隊をビルの中に入れるな!」



と警備室に命じた。

「しかし、あの中にはわが社の社員も・・・。」


「急いで閉めろ。」


総裁の強い命令には逆らえなかった。




警備員は急いでビルのドアの施錠をしたが、


すぐに何者かに叩き壊され、


デモ隊のビルへの進入を許してしまった。


デモ隊に続き、それを追う装甲騎兵、


そして、ハミル率いる精鋭α部隊が、ビル内へ進入した。




「至急、民兵を集めろ!アレム神父を奴らに渡してはならん。


ソフィーはどうした?まだ来ないのか?


おかしいだろう!このデモは評議会に対するデモだぞ!


なぜこちらに来る?おかしいだろう!」

総裁の喚き散らす声が総裁室に響いた。



ちなみに総裁の今日の機体は、


全身を木で覆った鼻の長い人形、ピノキオ。


動き回るその姿は、とてもメルヘンだった。




その間、ハミルとα部隊は、


突然止まったエレベーターのドアをこじ開けると、


最上階総裁室へと駆け上っていた。




『地下鉄線路跡・坑道』


ソフィーとデューカ、


そして、銀色のアンドロイドとアローン兵1万2千機は、


地下鉄坑道をサマルカンドへ向けて進んでいた。



「デューカ、さっきから何が不満なの?」



デューカは銀髪を一瞥した。

「こいつだよ。こいつ信じていいのか?


大体、俺はこいつの名前すら知らない」



「俺は名乗る程の者じゃない」

銀髪は即答した。



「色々、事情があるのよ」

ソフィーはデューカをなだめた。



「名乗りたくないなら俺が勝手に名づけてやる・・・・。


お前は銀髪だから銀次だ。」



「単純かつ、想像力の欠片も無い発想。」

銀髪のアンドロイドは、地下鉄坑道の中で、呟いた。


ソフィーがちょっと笑ったので、銀髪は、さらに続けた



「一体お前の思考回路は、この5000年間何をしていたんだ?


1つの文明が始まり、終わりを告げるだけの時間だぞ。


その間、俺の髪の色が何回変わったと思ってるんだ?」



「5000年の時間の流れを説明するのに髪の色って・・・


お前の5000年の証って、髪の色・・なのか?」



「否定はしない」



「否定しろよ!5000年だぞ!」





『宇宙ステーション・アントン』


宇宙ステーション・アントン管理官ケイに、ヤーシャは報告した。



「地上から連絡で、宇宙ステーション内に滞在中の、


鉱物資源企業団公社のアンドロイドを、


拘束せよとの命令通信が届きました。」


「拘束?」


「公社自体に反乱罪の疑いが掛けられたようです。」


「反乱罪?」



管理官のケイは、青く輝く星を見下ろした。


ケイの思考回路内では、

道化のアバタ―が【厄介な命令が来たもんだ】

と嘆いていた。



宇宙ステーション内で公社の連中は、


重要な技術者の集まり。


色々面倒な事になりそうだ・・





つづく


いつも読んで頂き、ありがとうございます。
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