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4章 デユーカに迫る惑星最強殺戮兵器

18話 それが私の罪

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『首都郊外・地下鉄遺跡』



「とりあえず、こいつら離してくれないか。」



銀髪のアンドロイドは、参謀に言った。



青い視野レンズの参謀は、


じっと銀髪を凝視したまま動きを止めた。


そして、その銀髪の髪をそっと撫でた。



時間が止められる。


アンドロイドとして生きてきた時間が止められる。


銀髪のアンドロイドの恐怖に満ち居た目は、


ソフィーに許しを請いていた。



「ソフィー、あんたとは色々在ったが、


水に流して、我々の味方になって欲しい。」



「ソフィーこんな奴の言う事なんか聞くんじゃないぞ。


いつ裏切るか解らない味方など、味方と言えるか。」



「おい、そこのアホ、最高の機体を貰っておきながら、


早速我々を裏切るつもりか?」


「俺の裏切りなど、お前らの想定の範囲内だろ。


そう言った意味では、俺は裏切っちゃいないぜ。」



銀髪を撫でながら参謀が


「お話伺いましょう。」

とさっき言った言葉を繰り返した。



参謀の言葉は、ソフィーの意思の反映に過ぎなかったが、


まるで機械のアローン兵に言われると、


デューカにせよ、銀髪のアンドロイドにせよ、違和感を感じた。



銀髪のアンドロイドは、その自慢の銀色の髪を一段と輝かせながら

「幾ら最強のアローン兵とは言え、補給が無くては、いずれ動けなくなる。


動かなくなればただのカーボンとセラミックの塊に過ぎない。


我々ならアローン兵の補給とメンテナンスを提供することが出来る。」



「その見返りは?」

アローン兵の参謀は、抑揚のない口調で聞いた。



「我々・・・鉱物資源企業団の民兵組織への合流。」


ソフィーは『鉱物資源企業団』の言葉に笑った。


デューカは

「ソフィー!奴らは、俺達をこの騒乱に巻き込み、


サムエルやニナを消去に追い込んだ連中だぞ。


そんな奴らに肩入れする気か?


こいつ等が俺達を誘わなければ、俺達はあの工場で平和に暮していたはずだ。」



銀髪のアンドロイドは失笑し、

「平和・・・永遠の停滞とも言うがね。」

と。


ソフィーは銀髪のアンドロイドとデューカを一目見ると、


人類が生きていた時代を思わせるオープンカフェの椅子から立ち上がり、


地上に上がる階段へ歩き出した。



それに合わせて5機の黒い装甲を纏ったアローン兵と、


青い視野レンズの参謀が付き従った。



デューカがソフィーの後を追おうとすると、


2機の黒い装甲を纏ったアローン兵が制止した。

デューカは深追いする事無く、


階段を上がっていくソフィーを見送った。



『地下鉄遺跡・地上』




「どう思う?」

ソフィーは参謀に聞いた。

「今後の戦略を考えますと、彼らと手を結ぶべきかと。」


「そうだよね。」

ソフィーは、夜空を眺めた。





そして、

「聞いての通り、あいつが誘わなければ、


私の仲間は消えることは無かった。

そして、最初にあいつらの誘いに乗って、


仲間をあの騒乱に引き込んだのは私だって事を、


あなたの記憶装置に留めておいて。」


「かしこまりました。」

参謀は答えた。


「それが私の罪」


と、ソフィーは付け加えた。




つづく



いつも読んで頂き、ありがとうございます。

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