『遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

文字の大きさ
上 下
74 / 243
4章 デユーカに迫る惑星最強殺戮兵器

14話 美しい世界だけを見ていたい。

しおりを挟む
『空軍基地・周辺』


両側のアローン兵は、まるで恋人の様に、

デューカに頬をよせた。


恐るべきアローン兵達に、

両脇から腕を組まれたデューカの心は凍えた。


「デューカ、久しぶり。」


懐かしく優しい声が聞こえた。

その声が、ソフィーの声だとすぐに分かった。


最後に、ソフィーの声を聴けて良かった。

思考回路の半導体が、最後に聞かせてくれたのか、

半導体のくせに、粋な事をする・・・


「生きてたんだね」


ソフィーの声は続いた。


「?」

デューカは、辺りを見渡した。

周りにはアローン兵しか、見当たらなかった。

デューカは漠然としない不安と、意味不明な微かな嬉しさを感じた。

そして、アローン兵に抱き着かれながら、地下鉄遺跡に連行された。



『首都郊外・地下鉄遺跡』


青い視野レンズの参謀兵は、どこかで見つけてきた、

綺麗な青色の瓶を眺めていた。

地下鉄遺跡に差し込む日光が、青色の瓶を綺麗に輝かせていた。


参謀兵の青い視野レンズとは、対照的な青い光を放っていた。


青色の瓶には

『美しい世界だけを見ていたい』

と印されていた。遠い昔のウイスキーの瓶だろう。


参謀は気にいったのか、キヨスクの店の棚に並べた。

空の瓶だが、とりあえず5000年ぶりに商品が並んだ。


参謀は、キヨスクの店内に座るソフィーの横に座った。


地下鉄の廃墟のキヨスクに、

商品を並べて店番をする2機のアンドロイド。

ちょっと不思議な光景だ。



「あの者、如何なさるおつもりで?」

青い視野レンズの参謀の声が、地下鉄遺跡後のに響いた。


「まだ、解らない。とにかく今は、会いたい。」

物音1つしない地下鉄の遺跡後に、

空軍基地周辺にいるアローン兵から、映像が送られてきた。


思考回路に、銀髪のアンドロイドが映った。

ソフィーは微かに笑うと、「銀髪のアンドロイドを捕らえよ!」と命じた。


空軍基地周辺にいたアローン兵が、

銀髪のアンドロイドの退路を素早く塞いだ上で、一気に取り囲んだ。

銀髪のアンドロイドは、アローン兵相手に、抵抗を試みた。


「アローン兵相手に、あいつバカなの?」


アローン兵は、難なく銀髪のアンドロイドを取り押さえると、
参謀兵の操るアローン兵が、発信機の類を破壊した。


これほど恐怖に怯える銀髪のアンドロイドを見たのは、初めてだ。



「思わぬ漁夫の利。」


ソフィーは、アローン兵が笑顔の意味を理解できないと解りつつも、

アローン兵達に笑顔のイメージを送った。



『大気圏外』


人類を乗せた宇宙船に、空軍の衛星がゆっくりと近づいてきていた。
少女は不安げに、その衛星を見つめた。


つづく

いつも読んで頂き、ありがとうございます。
毎週、日曜日更新です O(≧∇≦)O イエイ!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

リミット・ゼロ

るえりあ
SF
ニューヨークで平凡な日常を送るシステムエンジニア、カイト・セナ。 毎朝、決まった時間に目覚め、コーヒーを買い、仕事をこなし、何気ない日々を過ごしていた。 しかし、ある日を境に彼の世界は微かに歪み始める。 昨日と同じニュース、変わらない会話、繰り返される出来事——それらの違和感が徐々に積み重なり、 やがてカイトは"異常"に気づく。 これは、ただのデジャヴではない。 俺は、同じ日を繰り返している? 最初は些細な違和感だった。 だが、それは徐々に彼の現実を侵食し、ついには"この世界そのもの"に疑念を抱かせる。 時間はなぜ繰り返されるのか? 自分だけがこの異変を認識しているのはなぜか? そんな中、カイトの前に現れた謎の女「白崎ナオ」。 彼女は、すべてを知っているかのように語る。 「あなたは、時間に閉じ込められている」 なぜ彼はこの現象に巻き込まれたのか? この異常なループを抜け出す方法はあるのか? 答えを求めるカイトの前に、 次第に"この世界の真実"と"隠された陰謀"が姿を現す——。 時間が、彼を騙している。 このループは、決して偶然ではない。 カイトがたどり着く"答え"とは? そして、"時間の牢獄"を抜け出すことはできるのか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武

潮崎 晶
SF
最大の宿敵であるスルガルム/トーミ宙域星大名、ギィゲルト・ジヴ=イマーガラを討ち果たしたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、いよいよシグシーマ銀河系の覇権獲得へ動き出す。だがその先に待ち受けるは数々の敵対勢力。果たしてノヴァルナの運命は?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

タイムワープ艦隊2024

山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。 この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

処理中です...