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4章 デユーカに迫る惑星最強殺戮兵器
9話 参謀くんも寂しくなる事ってある?
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『首都郊外・地下鉄遺跡』
目的は、人類をこの惑星に受け入れる事。
それは、このレジスタンス活動の原点だ。
アンドロイド達の過去への望郷が、原動力だった。
そして、私たちは、人類とどうしようと言うのか?
人類との関係性は、どうするの?
寿命が、70歳前後の人類と、どうやって暮らすのか?
アンドロイドたちは、5000年の時間を生きてきたのだ。
5000年前の成りたてのアンドロイドとは違う。
ほとんど永遠に続く時間と、限りある時間。
考えれば、色々問題が出てくる。
しかし、宇宙に飛び立ってしまった人類。
人類が居なければ、レジスタンス活動の意味はなくなる。
人類がもたらす潤いによって、
この硬直した世界が変わると思ったけど、
所詮機械だし、それならそれで良いか・・・
そうなると私はどうしよう。
どこかで偽造IDを手に入れて、
前暮らしていたような、生活に戻る手もある。
そんな生活とは、かけ離れたアローン兵たちが、
惑星各所の基地から脱出して、
ソフィーの元に集結しつつあった。
参謀の助言により、
再び地下鉄遺跡に戻ってきた。
サムエルやニナ達レジスタンスと違って、
アローン兵は民衆の支持を得ていないばかりか、
最も嫌われている機械と言われても、過言ではない。
ゆえに、街の中に隠れる訳にも行かず、
いつまでも地上にいるわけにも行かず、
結局地下鉄遺跡に戻らざる得なかった。
「問題は山積している。」
「はい、その様です。」
参謀は相槌を打った。
「宇宙に上がり、人類の宇宙船に接触する手段は?」
「はい、アローン兵一個師団1万2千機集結後、
空軍基地を襲撃し宇宙船を奪うルートが最適かと思われます。
サマルカンド宇宙港の民間宇宙船を襲撃するルートもございますが、
一般アンドロイドの被害を考ますと、
空軍基地襲撃ルートが最適かと考えられます。」
参謀は、表情を変えず・・・元々表情などないのだけど、
何となく徐々に表情が出てきているのは、気のせいか?
「空軍基地を襲う?まだ、大胆な事を言う・・・そんな事をすれば、
軍が本格的に私達を討伐する口実を与えるようなものよ。
今だっていつそうなるかも解らない状況なのに・・・。
違う方法は無いの?」
いまだに軍による本格的な掃討戦を恐れている。
もう手遅れ感は、ソフィーにも解っていたが・・・
「ソフィー様が一機で、
一般アンドロイドしてサマルカンド宇宙港より、
宇宙に上がるルートが幾つかありますが、
人類に似た生命体を乗せた宇宙船に、
空軍の監視を抜けて接触するルートは発見できません。」
「それを考えるのが参謀の仕事でしょう。」
「はい、その様です。」
参謀は、いつも通りに答えた。
ソフィーは
「もしかして、私が一機で宇宙に出たら、寂しくて反対してるだけじゃないの?」
と、言って見た。参謀は答えに困ったように沈黙した。
・・・そんな事はないだろうけど・・・
「参謀くんも寂しくなる事ってある?」
参謀は考え込んだ。かなり長いこと・・・
参謀が寂しさについて考え込んでいる最中、
ソフィーは『空軍基地襲撃案』について考えを巡らした。
遅かれ早かれ、軍が動くのであれば、
先に空軍基地を押さえておくのも悪くはない。
なんと言っても、こちらにはアローンが1万2千機もある。
そう考えると武者震いがした。
1万2千機の感覚を確かめてみた。
ソフィーの一つの意識が、
1万2千機のアローン兵の思考回路を駆け抜けた。
その爽快感は、ソフィーの思考を違う次元に、誘っている様な気がした。
青い視野レンズの参謀は、
『自分は寂しくなる事ってあるのか?』について、まだ考えていた。
寂しいと言う概念がないのだろう。
概念がないと、寂しくないのだろうか?
アローン兵は、共通の思考空間を持ち、
常に同じアローン兵を意識出来る環境にあるならば、
寂しさは感じないのかも。
地下鉄遺跡には、アローン兵1000機が、
微動だにせず置物の様に佇んでいた。
もしその共通の思考空間にアクセスが出来なくなったら、
アローン兵なりに、寂しさを感じるのかも知れない。
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。 O(≧∇≦)O イエイ!!
目的は、人類をこの惑星に受け入れる事。
それは、このレジスタンス活動の原点だ。
アンドロイド達の過去への望郷が、原動力だった。
そして、私たちは、人類とどうしようと言うのか?
人類との関係性は、どうするの?
寿命が、70歳前後の人類と、どうやって暮らすのか?
アンドロイドたちは、5000年の時間を生きてきたのだ。
5000年前の成りたてのアンドロイドとは違う。
ほとんど永遠に続く時間と、限りある時間。
考えれば、色々問題が出てくる。
しかし、宇宙に飛び立ってしまった人類。
人類が居なければ、レジスタンス活動の意味はなくなる。
人類がもたらす潤いによって、
この硬直した世界が変わると思ったけど、
所詮機械だし、それならそれで良いか・・・
そうなると私はどうしよう。
どこかで偽造IDを手に入れて、
前暮らしていたような、生活に戻る手もある。
そんな生活とは、かけ離れたアローン兵たちが、
惑星各所の基地から脱出して、
ソフィーの元に集結しつつあった。
参謀の助言により、
再び地下鉄遺跡に戻ってきた。
サムエルやニナ達レジスタンスと違って、
アローン兵は民衆の支持を得ていないばかりか、
最も嫌われている機械と言われても、過言ではない。
ゆえに、街の中に隠れる訳にも行かず、
いつまでも地上にいるわけにも行かず、
結局地下鉄遺跡に戻らざる得なかった。
「問題は山積している。」
「はい、その様です。」
参謀は相槌を打った。
「宇宙に上がり、人類の宇宙船に接触する手段は?」
「はい、アローン兵一個師団1万2千機集結後、
空軍基地を襲撃し宇宙船を奪うルートが最適かと思われます。
サマルカンド宇宙港の民間宇宙船を襲撃するルートもございますが、
一般アンドロイドの被害を考ますと、
空軍基地襲撃ルートが最適かと考えられます。」
参謀は、表情を変えず・・・元々表情などないのだけど、
何となく徐々に表情が出てきているのは、気のせいか?
「空軍基地を襲う?まだ、大胆な事を言う・・・そんな事をすれば、
軍が本格的に私達を討伐する口実を与えるようなものよ。
今だっていつそうなるかも解らない状況なのに・・・。
違う方法は無いの?」
いまだに軍による本格的な掃討戦を恐れている。
もう手遅れ感は、ソフィーにも解っていたが・・・
「ソフィー様が一機で、
一般アンドロイドしてサマルカンド宇宙港より、
宇宙に上がるルートが幾つかありますが、
人類に似た生命体を乗せた宇宙船に、
空軍の監視を抜けて接触するルートは発見できません。」
「それを考えるのが参謀の仕事でしょう。」
「はい、その様です。」
参謀は、いつも通りに答えた。
ソフィーは
「もしかして、私が一機で宇宙に出たら、寂しくて反対してるだけじゃないの?」
と、言って見た。参謀は答えに困ったように沈黙した。
・・・そんな事はないだろうけど・・・
「参謀くんも寂しくなる事ってある?」
参謀は考え込んだ。かなり長いこと・・・
参謀が寂しさについて考え込んでいる最中、
ソフィーは『空軍基地襲撃案』について考えを巡らした。
遅かれ早かれ、軍が動くのであれば、
先に空軍基地を押さえておくのも悪くはない。
なんと言っても、こちらにはアローンが1万2千機もある。
そう考えると武者震いがした。
1万2千機の感覚を確かめてみた。
ソフィーの一つの意識が、
1万2千機のアローン兵の思考回路を駆け抜けた。
その爽快感は、ソフィーの思考を違う次元に、誘っている様な気がした。
青い視野レンズの参謀は、
『自分は寂しくなる事ってあるのか?』について、まだ考えていた。
寂しいと言う概念がないのだろう。
概念がないと、寂しくないのだろうか?
アローン兵は、共通の思考空間を持ち、
常に同じアローン兵を意識出来る環境にあるならば、
寂しさは感じないのかも。
地下鉄遺跡には、アローン兵1000機が、
微動だにせず置物の様に佇んでいた。
もしその共通の思考空間にアクセスが出来なくなったら、
アローン兵なりに、寂しさを感じるのかも知れない。
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。 O(≧∇≦)O イエイ!!
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