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4章 デユーカに迫る惑星最強殺戮兵器

6話 デューカ、泣く。

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それでも、それなのに、

銃撃は、デューカの左腕を吹き飛ばした。



「ぬわー!」



デューカは叫んだ。



吹き飛んだのは、一点ものの高価な左腕を、


さらに自分で、1000年以上試行錯誤を繰り返しながら、


チューニングをしたお気に入りの左腕だ。



それは人間時代を超える最高の腕と言っても良い、


素晴らしい腕だったのに・・・



泣ける、非情に泣ける。



この程度の銃撃は、何度もくぐりぬけて来たのに・・・


ソフィーがいないと、運にも見放されるらしい。



運に見放されたデューカは路地の突っ走った。


再び装甲騎兵が放った銃撃が、


足に当たりデューカは、路地に倒れこんだ。



「なんでやねん!」


自分の不運に嘆いた。


しかし・・・しかし!


倒れこんだすぐ目の前に、


鎖が「ガチャン」と音を立てて投げ込まれた。



「そいつに捕まれ!」


誰かが、電子音で叫んだ。あえて加工しているのだろう。

大昔のテクノ音楽を思い出した。


経験上、あえてこんな加工をしている奴が、

まともであった試がない。



しかし・・・躊躇ったのは、一瞬。



デューカは、残った右手でその鎖を掴んだ。



路地の先でバイクのモーター音が響き渡り、


路地裏の先にいるであろうバイクが、


西部劇の様に鎖に捕まったデューカを引きずった。


鎖を離せば背後に装甲騎兵、


引きずられれば地面との摩擦で機体はぼろぼろ。



「誰か知らないが、もうちょっとましな助け方があるだろうが!」



それでも、デューカは鎖を必死に捕まえ、


そして地面を引きずられた。



長年連れ添ったデューカの機体が、


一つそして一つ、剥がれ落ちて行った。



想いでの詰まった機体の破片が、


路地裏にゴミのように散らばっているのが、


ちらりと見えた。



「うう・・・」



泣けた。





『首都郊外・森林地帯』



森林をそよぐ冷たい風は、


とても清らかで気落ちの良い風だった。




「あの人類に似た生命体がいない以上、

首都に向かっても仕方ない。」



ソフィーの声は、清らかな夜空に馴染んだ。



「如何いたします?」


青い視野レンズの参謀の声も、清らかな夜空に馴染んだ。



民衆に慟哭を引き起こす、


恐怖のアローン参謀兵の声なのに・・・



ソフィーと一緒にいると、周囲の存在は、


ソフィー寄りの存在へと、少しずつシフトする。



例えそれが命のない機械だとしても。



「命のない機械だとしても・・・」


ソフィーは、じっと夜空を眺めながら呟いた。



自分で呟いて置きながら、居た堪れなくなった。


その言葉から、逃避するように、

ソフィーは人類の事を考えた。


そして、参謀に告げた。


「私は人類を追って宇宙へ行きたい。」



私は、まだ命のある人類に会いたい。





つづく


いつも読んで頂き、ありがとうございます♪((((( ( (ヽ(;^0^)/
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