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4章 デユーカに迫る惑星最強殺戮兵器
5話 お前、地味な格好してんな
しおりを挟む『大気圏外』
人類の少女は宇宙船の窓から、少しでも平常心を保とうと、
水の惑星を見下ろしていた。
ブリッジの奥から、2機の機械の兵隊が、静かに歩いてきた。
機械の兵隊は、少女の背丈を軽く超える盾を持っていた。
機械の兵隊に取っても、宇宙船ブリッジ内で、
鉢植えが爆発するとは想定外だったのかも知れない。
宇宙船ブリッジには、
身を挺して爆発を最小限に抑えた機械の兵隊の破片が、
散らばっていた。
爆発物は、機械的な物ではなく、化学的な薬品による爆発らしく、
威力はさほどなかったが、
今、破片になっている機械の兵隊の犠牲的な行為がなければ、
すくなくとも少女は死んでいた。
機械の破片とかした犠牲的な機械の兵隊は、
誰にも弔われることもなく、ただ機械の破片として、
清掃用ロボットによって、片づけられ始めた。
少女の両脇では少女を守る、
黒い装甲を纏った機械の兵隊が、
微動だにせずに立ち尽くしていた。
それは、まるでセラミックとカーボンで出来た、
置物の様に見えなくも無かった。
「この先、どうするつもりですか?」
少女は尋ねた。
黒い置物の様な機械の兵隊は、
制止したまま何も答えなかった。
先程まで、撒き散らしてあった消火剤はふき取られてはいたものの、
爆風で吹き飛ばされた備え付けの家具は、破壊されたままだった。
それを、少女は「子ども達には見せられない。」と思った。
この機械の兵隊が敵なの?味方なの?
宇宙港で起こった爆発は事故だったの?
私達を狙ったもの?
あの星は私達を受け入れるの?
拒絶するの?
今おかれている状況が、何1つもわからないままの、
少女は、小さくため息をつくと、
冷たい宇宙空間をじっと見つめた。
両脇で少女を守る二つの盾は、白く柔らかで、
まるで少女を包んでくれてる様な、優しさを感じた。
『サマルカンド・路地』
「お前、地味な格好してんな」
デューカに声を掛けてきた、そのアンドロイドが、
ヒューマノイドとして、どこか変だとは思った。
すると、そのアンドロイドは、目の前で、
乙女の様な曲線の美しいスポーツカーに変形した。
「変形すんのかよ!」
「お前も、もっと自由を謳歌しなよ♪」
スポーツカーは、そう言うと、
颯爽とどこかへ走り去って行った。
アンドロイドのメンテナンスに対する労力と、
政治力と資金が無ければ、出来ない改造だ。
実際、かなり面倒くさい。
商都サマルカンドは、統制が厳しいこの惑星に置いて、
最も自由な雰囲気を醸し出していた。
都市に集まる富の力が、評議会の統制力に抗していた。
「しかし、なんで、
こんなに装甲騎兵がうじゃうじゃいるんだ。
めんどくせえ。」
デューカは、怪しまれない程度に歩く速度を速めた。
背後で、装甲騎兵が
「そこのアンドロイド止まれ!」
とデューカに対して制止命令を出した。
「なんで、俺?
他にもおかしな奴なんていっぱい居るじゃん・・・・」
デューカは聞こえない振りをしながら、路地裏に向かった。
「止まれ!」
再び装甲騎兵が大声を上げた。
その声に危険を感じたデューカは、
路地裏に向けて全力で走り始めた。
背後でデューカを狙ったものと思われる、
複数の銃声が聞こえた。
すぐ側で、何がが弾ける音がした。
「威嚇射撃なしかよ」
しかしその銃撃も、戦場での銃撃に比べれば、
かなり大人し目ではあった。
つづく
読んで頂き、ありがとうございます♪
次回は月曜日に更新です ((((( ( (ヽ(;^0^)/
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