『遠い星の話』

健野屋文乃(たけのやふみの)

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3章 ラッキーボーイのデューカくん

7話 壊れた玩具と遠い銀河

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『反乱軍司令部塹壕後』



カーン少佐率いる装甲騎兵と情報将校達が、
反乱分子の掃討作戦を展開していた。


空軍の激しい爆撃の結果、巨木は倒され、
容赦の無い太陽の光が照らす反乱軍司令部塹壕跡には、
巨大な穴が開いていた。


その穴の底から鍾乳洞の乳白色の柱が、
太陽の光を浴び妖艶な人の肌の様に輝きを放っていた。


カーンは、その妖艶な白さに、
まだ人としての肉体を持っていた頃に、
感じていた官能的な感触を思い出しかけていた。


塹壕跡では、反乱分子のアンドロイドの破片が転がっていた。

情報将校達は、その中から、
記憶装置と思われる破片を広い集めていた。


「壊れた玩具の様な機械の破片・・・・
そんな物に頼って生き延びている自分って何だ?」


そんな事を何千回想ったところで、明日が変わる訳ではない。

地底に広がる鍾乳洞の奥から、
まだ掃討作戦を行なっている装甲騎兵の銃撃の音が、
散発的に聞こえてきていた。

カーンの記憶装置の奥から
妖艶で官能的な感触が湧き上がってきた、
まだ人間的な感触が残っていた事に一瞬にやけた。



思い出したのは人間だった当時の妻。


アンドロイド化した後50年ほど結婚生活を送ったが、
結局、離婚した。そして妻は、


「この玩具みたいな機械の体が動かなくなるまで、
私は未知の宇宙を冒険したい。玩具は楽しむ為の物でしょう」

と、伝言を残して、どこかの銀河系を目指して、太陽系を脱出した。

「銀河か・・・遠いな・・・・。」


カーンは、空を見上げた。


太陽が、じりじりと地面を照らしていた。


「熱い・・脳のICが焦げそうだ・・・。」



その時、散発的だった銃撃の音が、
激しい銃撃戦の音に変わった。


「反撃か?」



記憶装置の回収をしていた情報将校達も、
穴の入り口に集まって、地底の底を覗いた。

激しい銃撃戦の音は止むことが無かった。


「装甲騎兵に反撃できるだけの戦力が、
反乱分子に残っていたとは思えんが・・・新たな敵か?」



カーンは呟いた。



つづく


いつも読んで頂き、ありがとうございます。
次回は、木曜日更新です。O(≧∇≦)O イエイ!!
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