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3章 ラッキーボーイのデューカくん
4話 愛おしい者との記憶
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鍾乳洞の中は、膝まで地下水が流れていた。
有機生命体に取って、欠かせない水も、
アンドロイドに取っては、
機械に異常をきたす湿気の元に過ぎなかった。
デューカの背後から、
装甲騎兵の鍾乳洞内を駆ける足音が近づいてきた。
その音に、デューカの心の奥から、
否定しがたい感情が沸き起こってきた。
「・・・死への恐怖?
消え去ることに対する恐怖か?
何故、消え去ることに恐怖する?
ただ消えるだけだろ?
データが消えるだけだろ?
そもそも生きてると言えるのか?俺は?」
デューカはその理解しがたい感情から、
必死で遠ざかろうとするかのように、
前方を走る味方と思われる機械の足音を追った。
デューカの背後では、
装甲騎兵の機銃の銃声が響き渡っていた。
足元で弾丸が乳白色の柱と水面を、弾き飛ばした。
慌てたデューカは足を滑らせ、
予想以上に激しく流れる水とともに、
闇に隠された絶壁の下へと落ちていった。
「でも・・・愛おしい者との記憶は、消されたくない・・・。」
と、頭部の記憶装置を守ろうと右往左往するが、
それも空しく音を立てて、地底湖らしき所へ落ちたらしい。
地底湖に沈み始めたデューカは、
自らの身体の防水機能について考えた。
「えーと・・・防水ってなんだっけ・・・」
機械の身体が溺れ行く危機の中で、
デューカの混濁した意識に、声が聞こえた。
「意図的に消されたんだよ、我々の記憶は・・・」
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
次回は、日曜日更新です O(≧∇≦)O イエイ!!
有機生命体に取って、欠かせない水も、
アンドロイドに取っては、
機械に異常をきたす湿気の元に過ぎなかった。
デューカの背後から、
装甲騎兵の鍾乳洞内を駆ける足音が近づいてきた。
その音に、デューカの心の奥から、
否定しがたい感情が沸き起こってきた。
「・・・死への恐怖?
消え去ることに対する恐怖か?
何故、消え去ることに恐怖する?
ただ消えるだけだろ?
データが消えるだけだろ?
そもそも生きてると言えるのか?俺は?」
デューカはその理解しがたい感情から、
必死で遠ざかろうとするかのように、
前方を走る味方と思われる機械の足音を追った。
デューカの背後では、
装甲騎兵の機銃の銃声が響き渡っていた。
足元で弾丸が乳白色の柱と水面を、弾き飛ばした。
慌てたデューカは足を滑らせ、
予想以上に激しく流れる水とともに、
闇に隠された絶壁の下へと落ちていった。
「でも・・・愛おしい者との記憶は、消されたくない・・・。」
と、頭部の記憶装置を守ろうと右往左往するが、
それも空しく音を立てて、地底湖らしき所へ落ちたらしい。
地底湖に沈み始めたデューカは、
自らの身体の防水機能について考えた。
「えーと・・・防水ってなんだっけ・・・」
機械の身体が溺れ行く危機の中で、
デューカの混濁した意識に、声が聞こえた。
「意図的に消されたんだよ、我々の記憶は・・・」
つづく
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
次回は、日曜日更新です O(≧∇≦)O イエイ!!
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