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2章 退化する世界の中で・・・

9話 独裁者の秘密

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『評議会議長室・早朝』


発電所の現場検証に入っていた、

内務省特殊部隊隊長ハミルから、

評議会議長に映像回線が繋がった。


所々、途切れる映像に、

議長は苛立ちながらも、

ハミルの報告を聞いていた。


「現時点で発電所内に、

反乱分子の機体の残骸は発見できませんでした。 
 記憶装置が健在な警備兵の、記憶によりますと、

反乱分子は爆破以前に、脱出した模様です。」

 「発電所を襲っておきながら、途中で逃げ出したと言うことか?」

 「はい。後、発電所に配備されていた特殊機械兵の機体の破片も、

見つかりません。」
とハミルが言った後、映像回線は途切れた。

 


反乱軍は、最初から発電所を落とす気が無かったのか?

発電所の警備兵の戦力など、調べれば解る事だ。

その戦力を制圧出来るだけの戦力も集めずに、

勝つ見込みもなくやみくもに襲撃をしたと?

発電所の破壊が目的か?

しかし、破壊だけが目的なら突入する必要などない。


それともただの思慮の浅い不満分子・・・と考えるのは、楽ではある。


違う要因があるのか?


 「特殊機械兵・・・。」 

何気に呟いた。


その呟きに秘書アンドロイドが、議長を見た。

古めかしい人形の様なアンドロイドだ。

見る者によっては、

美しいとは表現しないかも知れないタイプのアンドロイドだ。


議長は、作りこまれた芸術的なその美しい手を握った。

一見、手を握っているだけの様に見えるが、

握られた手と手は、接続され、データの送信が行われていた。

一般には禁止されている『魂の情報』もコピーされた。

いざと言うと時の影武者・・・次の議長を起動させる為の行為だ。


他のアンドロイドの様に、

一番大切な部分を誰かに依存させていては、権力は維持できない。

そして、誰にも依存していない事を、誰にも知られては成らない。


データ送信が終わると、何事も無かったのように秘書に命じた。


 「タタール発電所を失ったにも関わらず、

反乱分子を取り逃がすとは・・・
民衆に恐れられた内務省諜報部も地に落ちたな。

所詮素人相手にしか、役に立たん連中か。
 陸軍のカーン少佐を呼び出せ。

カーンに反乱分子の掃討作戦をやらせる。」



秘書は、いつも通り、素早く陸軍に回線を繋いだ。


つづく

いつも読んで頂き、ありがとうございます。

次回は、木曜日更新です O(≧∇≦)O イエイ!!
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