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1章 黄昏の始まり

17話 静かに閉まるトラックのドア

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鉱物資源運搬用のトラックは、発電所の手前の森の中で停まった。


「ここが待ち合わせ場所?」


アレムが、視線を送るとコーリーは、ニヤリとした。

エンジンを消したまま、トラックは静かな森の中に溶け込んだ。

数分後、髪の長いアンドロイドが、森の中から姿を現した。


「博士、来たようですぜ。」


銀髪のアンドロイドは、お気に入りの銀髪を整えながら言った。


「さあ、アレム神父行きましょう」


コーリーに誘われて、外に出たアレムは自らトラックのドアを閉めた。

強めに閉めたにも関わらず、ドアはまったく音もなく閉まった。

特殊な仕様らしい。反乱軍仕様か!?

アレムは、トラックのドアが音もなく閉まったことに、

「おお!」感嘆しそうになったが、そんな状況ではない事を察し、

無表情を装った。

演説で、惑星の全アンドロイドを熱狂させた神父が、

ドアが音もなく閉まった程度に驚くのはありえない。

神父は厳しく自戒した。


髪の長いアンドロイドは、

今どき珍しく、優しげで繊細でより人間らしい顔立ちをしていた。

体つきも女性的な作りをしていた。


人類滅亡後、アンドロイドだけの世界が作られるに従って、

性差の意味は徐々に、失われていった。


アレム神父も【神父】を名乗り、

標準的男性型アンドロイドの機体を纏っているが、

人類時代は女性だった。


保守的な教会ですら、

性差に関して無頓着になっていた。


「アレム神父、お会いできて光栄です」


ソフィーに握手を求められ、断る理由も思いつかないアレム神父は、

人間らしく、そして女らしい手を握った。


その手は、自分が昔、人間であり、

そして女であったことを、思い出させた。


「この作戦の指揮を任されたソフィーです。

アレム神父が作戦決行の命令を出していただければ、

日が明ける前には、あの発電所を我らの管理下にして、

お見せすることが出来ます。」


「この作戦?私が命令?どういう事です?コーリー博士?」




つづく

毎週、土曜日更新です。。。。。。。。ヽ(・ o ・)ノ ハッ!
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