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1章 黄昏の始まり
10話 動かしてはいけない時計の針
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人工知能も保守を優先すれば、進化は止まる。
その結果、評議会議長室の控室は、
時間が止まったかの様だ。
いや、時間が止まったのではない。止めたのだ。
幾度のシステム崩壊を経験した結果、この惑星の首脳たちは時間を止めた。
回る時計の針は、飾りに過ぎない。
控え室の外では、
停電の暗闇の中で電源の復旧作業をする作業員の声が、
響き渡っていた。
暗闇の中、評議会議長は、
先程起こった爆発の事を考えていた。
「敵はどこの誰だ?」
評議会議長は暗闇の中、見えない敵の存在を探った。
考えれば考えるほど、全てが敵に思えて来る。
その全てを潰したくなる!
そんな思いを、押しとどめる理性はまだ残っていた。
自家発電に切り替わり評議会議長室が明るくなった。
そこへ、議長の私設秘書が慌てて入ってきた。
「宗教検察庁長官からです」
秘書は議長にメモを手渡そうとしたが、
議長の右手は微かな誤作動を起こし、
受け取ることが出来なかった。
「また、技師を呼びましょうか?」
「明日でいい。」
アレムの演説以来、評議会議長の身体と心に異変が生じていた。
この身体の誤作動と、心の奥からやってくる嫌な圧迫感。
おかげで朝から苛つきが続いている。
メモには
『アレム神父連行中に何者かに襲撃され、
宗教検察官2名共に意識消滅。アレム神父は逃亡。』
と書かれてあった。
メモを読むと評議会議長の表情から一瞬で苛つきが消え、
代わりに不敵な笑顔を浮かべた。
「反政府組織サインだかなんだかは知らぬが、
とうとうえさに食いついたか。
今回のえさは上物の神父様だからな、
連中も我慢できなかったと見える」
「アレム神父の所在を確認しだい、
内務省特化隊を派遣しますか?」
秘書の問いに、評議会議長は満足げにうなずいた。
敵の存在が彼の心を高揚させた。
動かしてはいけない時計の針が、少しだけ動き出した。
つづく
毎週、土曜日更新です♪
その結果、評議会議長室の控室は、
時間が止まったかの様だ。
いや、時間が止まったのではない。止めたのだ。
幾度のシステム崩壊を経験した結果、この惑星の首脳たちは時間を止めた。
回る時計の針は、飾りに過ぎない。
控え室の外では、
停電の暗闇の中で電源の復旧作業をする作業員の声が、
響き渡っていた。
暗闇の中、評議会議長は、
先程起こった爆発の事を考えていた。
「敵はどこの誰だ?」
評議会議長は暗闇の中、見えない敵の存在を探った。
考えれば考えるほど、全てが敵に思えて来る。
その全てを潰したくなる!
そんな思いを、押しとどめる理性はまだ残っていた。
自家発電に切り替わり評議会議長室が明るくなった。
そこへ、議長の私設秘書が慌てて入ってきた。
「宗教検察庁長官からです」
秘書は議長にメモを手渡そうとしたが、
議長の右手は微かな誤作動を起こし、
受け取ることが出来なかった。
「また、技師を呼びましょうか?」
「明日でいい。」
アレムの演説以来、評議会議長の身体と心に異変が生じていた。
この身体の誤作動と、心の奥からやってくる嫌な圧迫感。
おかげで朝から苛つきが続いている。
メモには
『アレム神父連行中に何者かに襲撃され、
宗教検察官2名共に意識消滅。アレム神父は逃亡。』
と書かれてあった。
メモを読むと評議会議長の表情から一瞬で苛つきが消え、
代わりに不敵な笑顔を浮かべた。
「反政府組織サインだかなんだかは知らぬが、
とうとうえさに食いついたか。
今回のえさは上物の神父様だからな、
連中も我慢できなかったと見える」
「アレム神父の所在を確認しだい、
内務省特化隊を派遣しますか?」
秘書の問いに、評議会議長は満足げにうなずいた。
敵の存在が彼の心を高揚させた。
動かしてはいけない時計の針が、少しだけ動き出した。
つづく
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