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1章 黄昏の始まり

5話 反政府組織・・・

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連行される車の中で、神父は聞いた。

「反乱罪・・・私が反政府組織サインと、
繋がりがあると言いたいわけだろ。
存在も疑わしい反政府組織・・・
君たちはそんな組織が本当に存在すると思っているのか?」

宗教検察官は、答えた。
「『反政府組織サインが本当に存在すると思っているのか?』
反乱罪に問われた者の共通の台詞。
我々確かな証拠を元に動いている。
あなたの様な素人にどうこう言われる筋合いは無い」

「共通の台詞なら本当に無いのでは・・・私ならそう判断を下します」

「口裏を合わせている可能性もある」

神父は
「そんな稚拙な口裏の合わせをする組織など・・・」
と言ったが、馬鹿馬鹿しくなって話すことをやめた。

「弁護士をつけてくれるんでしょうね」

「もちろん」


神父は深いため息をついて、窓の外を眺めた。

その時、車に強い衝撃が走った。

直後、機械が砕ける音がした。

前を見ると車の前方部分は大破しており、
運転手の壊れた手が微かに震えているのが見えた。

歪んだ後部座席の扉が強引に開かれて、
銀色の髪の大型作業員が

「アレム神父ですね。
手荒なまねをしてすいません。
一緒に来ていただけますか?」

と手を差し出した。

神父の脳裏に「反政府組織サイン?」と浮かんだ。



つづく

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