思惟ちゃんと式神的な巨大ロボット

健野屋文乃(たけのやふみの)

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1章 妖精のお姫様

第14話 知らないところに行くのって、怖い?

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「思惟、これあげる。パイロット用の機内食だよ」


と姫さまから渡されたのは、

見たことがない果実の載ったタルトと、

牛ではない何かの飲むヨーグルトだった。


グロくはないけど・・・・

グロくはないけど、

未知の果実のタルトにちょっとビビった。


「美味しいよ」


姫さまに言われ、未知のタルトを口に運んだ。


「おぉ!」


未知の味がしたが、めっちゃ美味しかった。


牛ではない何かの飲むヨーグルトは、

やたら濃い味が未知すぎて・・・

でも、飲めない事はなかった。



黄金の甲冑武者の胸コックピット内で、

美味を楽しんでいる間、その武者は、

思惟の部屋のクローゼットを開けた。



女将の間のクローゼットは、

8畳ほどの広さがあり、

元女将だった祖母の着物や持ち物が、

仕舞ってあった。


中に入ると、

壁一面に古い桐の箪笥が聳え立ち、

古めかしい香りを漂わせていた。

 

思惟にとって、見慣れた景色だったが、

武者の胸コックピット内から眺めると、

すごく祖母の想いが心に沁みこんで来る様な気がした。

 

ほぼ魂だけの存在になったからなのかも知れない。




「ちょっと待っててください」


会璃(あいり)と騰子(とーこ)が、

壁をガタガタ動かしだした。



「もしかして・・・隠し扉?」


思惟は、呟いた。


「思惟、直感が鋭いね。正解よ♪」


姫さまが反応した。



「何て言うか・・・・本当にこの旅館が首都だったんだ・・。」



ガタガタと古い隠し扉が開くと、

また古い蛇腹の柵があった。


モニター越しに見る世界は、身体越しに見る世界とは、

感覚的に違っていて、

思惟は、その奥にある小部屋に入って、

そこがエレベーターだとやっと気づいた。


会璃によって、古い蛇腹の柵は閉じられ、

小部屋は密室になった。


思惟は、360度モニター越しに、その様子を見た。


「どうしよう・・・・」


「知らないところに行くのって、怖い?」


思惟を、背後から抱きしめている姫さまが聞いた。


「大丈夫、思惟に何かあった時は、あたしの責任だから、

その時は、あたしも一緒に・・」


思惟の魂だけの身体に、姫さまの身体が重なり、

姫さまの意思が、身体に伝わってくるような気がした。


すごく切羽詰まってる姫さまの意思・・・


つづく
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