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4章 シルスの冒険
10話 威風堂々
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結界の外側は、突然深い霧に覆われ初めた。
霧の中、敵の兵員輸送用車両の影があちこちに見えた。
カーフェリーサイズの大きさの緑の箱は、
琥珀色の結界に、のめり込んでいた。
「これは・・・」
姫様は、1秒未満思考に耽った後、
「むつみ以外は結界内に戻れ!敵が結界内に侵入するかも!」
姫様がそう叫ぶと、黒と銀の有翼武者は上昇した。
「司令部!工兵隊爆破班すぐに出して!
場所は結界外北東微北(ほくとうびほく)
むつみは、虫けらどもを粉砕して、工兵隊の援護を!」
むつみは、腰に差していたガトリング砲をぶっ離した。
むつみが、緑の箱の周辺の敵兵を掃討すると、
小さな妖精の工兵隊が、どこからともなく現れた。
神将級燎(かがりび)も、腰に差していた拳銃を抜いた。
むつみの弾幕を抜けた19世紀の兵隊ぽい敵兵が、
神将級燎に、銃撃をくわえてきた。
「そんな小銃の弾丸が、神将級の装甲を打ちぬけるとでも?」
姫様は、得意げだった。神将級燎は、
リボルバーの拳銃を突進してくる敵兵に発砲した。
コックピットの360度画面には、
敵兵の姿が映っていた。
それはまるでゲームセンターのリアル版だった。
ただ・・・神将級燎は、発砲を続けるのだが、
敵兵は怯(ひる)まず突進してきた。
・・・と言うより、弾丸が当たった気配がない。
「姫様?」
姫様は、焦りまくっていた。
「なかなか当たらない・・訓練では100発1中だったのに・・・」
「1中って!」
「当たらないのは、きっと霧のせい・・・」
ニッキ―の思考回路に、
初めて神将級燎(かがりび)に、出会った日の事が映し出された。
・・・この姫様の戦闘力・・・最弱だったような・・・
リボルバーの5発の弾丸が切れたみたい。
なんで弱いのに、リボルバーを?
黄金の甲冑が、小銃の弾丸は跳ね返してはいたが、
その振動はコックピット内に響いていた。
なのに姫様は、素早くしっとりクッキーを口に運んだ。
「この状況で!?」
神将級燎は、リボルバーの再装填より、刀を抜くことを選んだ。
「雑魚どもが・・・」
深い霧の中、刀が光った。
名刀のみが見せる美しく危険な輝きだ。
名刀だとしても、それを使いこなせない、
神将級燎の戦闘力が上がる訳ではないのが、
残念だが、幸運な事に、刀を抜くと敵兵たちは若干怯んだ。
その式神が、黄金に輝く甲冑を纏った、
敵の大将、神将級燎だと気付いたらしい。
「虫けらども、死にたい奴から前に出ろ!」
姫様の透き通った声が深い霧の中に響いた。
その透き通った美しい声は、
神将級燎が、ただの式神とは訳が違うと思わせるには、
十分な崇高さを備えていた。
神将級燎の神々しいその一喝に、
敵兵は確実に恐れ慄いていた。
・・・こっちの戦闘力は最弱なのだが・・・
つづく (o・ェ・)ノ[賀正]ヽ(・ェ・o)
毎週日曜日更新です。
霧の中、敵の兵員輸送用車両の影があちこちに見えた。
カーフェリーサイズの大きさの緑の箱は、
琥珀色の結界に、のめり込んでいた。
「これは・・・」
姫様は、1秒未満思考に耽った後、
「むつみ以外は結界内に戻れ!敵が結界内に侵入するかも!」
姫様がそう叫ぶと、黒と銀の有翼武者は上昇した。
「司令部!工兵隊爆破班すぐに出して!
場所は結界外北東微北(ほくとうびほく)
むつみは、虫けらどもを粉砕して、工兵隊の援護を!」
むつみは、腰に差していたガトリング砲をぶっ離した。
むつみが、緑の箱の周辺の敵兵を掃討すると、
小さな妖精の工兵隊が、どこからともなく現れた。
神将級燎(かがりび)も、腰に差していた拳銃を抜いた。
むつみの弾幕を抜けた19世紀の兵隊ぽい敵兵が、
神将級燎に、銃撃をくわえてきた。
「そんな小銃の弾丸が、神将級の装甲を打ちぬけるとでも?」
姫様は、得意げだった。神将級燎は、
リボルバーの拳銃を突進してくる敵兵に発砲した。
コックピットの360度画面には、
敵兵の姿が映っていた。
それはまるでゲームセンターのリアル版だった。
ただ・・・神将級燎は、発砲を続けるのだが、
敵兵は怯(ひる)まず突進してきた。
・・・と言うより、弾丸が当たった気配がない。
「姫様?」
姫様は、焦りまくっていた。
「なかなか当たらない・・訓練では100発1中だったのに・・・」
「1中って!」
「当たらないのは、きっと霧のせい・・・」
ニッキ―の思考回路に、
初めて神将級燎(かがりび)に、出会った日の事が映し出された。
・・・この姫様の戦闘力・・・最弱だったような・・・
リボルバーの5発の弾丸が切れたみたい。
なんで弱いのに、リボルバーを?
黄金の甲冑が、小銃の弾丸は跳ね返してはいたが、
その振動はコックピット内に響いていた。
なのに姫様は、素早くしっとりクッキーを口に運んだ。
「この状況で!?」
神将級燎は、リボルバーの再装填より、刀を抜くことを選んだ。
「雑魚どもが・・・」
深い霧の中、刀が光った。
名刀のみが見せる美しく危険な輝きだ。
名刀だとしても、それを使いこなせない、
神将級燎の戦闘力が上がる訳ではないのが、
残念だが、幸運な事に、刀を抜くと敵兵たちは若干怯んだ。
その式神が、黄金に輝く甲冑を纏った、
敵の大将、神将級燎だと気付いたらしい。
「虫けらども、死にたい奴から前に出ろ!」
姫様の透き通った声が深い霧の中に響いた。
その透き通った美しい声は、
神将級燎が、ただの式神とは訳が違うと思わせるには、
十分な崇高さを備えていた。
神将級燎の神々しいその一喝に、
敵兵は確実に恐れ慄いていた。
・・・こっちの戦闘力は最弱なのだが・・・
つづく (o・ェ・)ノ[賀正]ヽ(・ェ・o)
毎週日曜日更新です。
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