思惟ちゃんと式神的な巨大ロボット

健野屋文乃(たけのやふみの)

文字の大きさ
上 下
54 / 85
4章 シルスの冒険

3話 思惟少将閣下

しおりを挟む
 大鷲は、大空の王者を誇示するかのように、

ゆっくりと旋回した。

対して、ニッキーを咥えた黒と白の鳥は、

狙われた獲物の様に怯えていた。

その怯えは、咥えられているニッキーにも伝わった。

上空に旋回した大鷲は、黒と白の鳥を射程圏に捕えると、

王者の目で見つめた。

黒と白の鳥とニッキーは、その恐怖に震えた。

自然界で繰り広げられる、

弱肉強食の一場面に過ぎないけど、

自分が食べられる側になるなんて、

思ったことはなかった。

そして、このシャッターチャンスを逃した悔しさ・・・

「・・・って、思ってる場合か!私!」

大鷲はニッキーと黒と白の鳥目指して、

急降下を始めた。

「ごめんなさい、私を許して・・・・」

ニッキーは、何かに嘆願した。すると?

「ひゅうー」

と風が吹いた。それはとても心地の良い風だった。

その風に優しく包まれた様な気がした。


「大鷲さん、食べちゃダメだぞ」

誰かが甘い声で、ささやく声がした。すると、


「ひゅうー」

と大鷲は甘えた声で鳴いた。

えっ?大空の王者大鷲が甘えた?

大鷲は、♡に旋回した後、大空の彼方に去って行った。


とりあえず助かったかも・・・

 

黒と白の鳥は、地下世界に聳えるように立っている、

巨木の枝に降り立った。

「思惟少将閣下、お初にお目にかけます♪

わたくしは、神将級式神のむつみと申します。

姫さまに代わりお迎えに参りました。」

 

「思惟少将閣下・・・・」


神将級式神を名乗る【むつみ】さんは、

どう見てもみたらし団子だった。

3つお団子×2が、
ニッキ―の目の前で浮いていた。


アソバソマソや、ゆるキャラみたいに、
擬人化している訳ではない。
みたらし団子そのものなのだ。

多分、神将級なら会璃さんや騰子さんの同僚なのだろうけど・・・

「これは、どうしたものでしょう~か」

何処からともなく茶色の紙袋が飛んできた。


服代わりにしろ?ってことかな。


ニッキーは、とりあえず、紙袋の上の方を破り、

ワンピースの様に着こなした。

着心地は、あまりよくはないが、裸でいるよりはましだった。


裸族の思惟なら、むしろ喜び全快状態なのだろうけど、

恥じらい乙女全快のニッキ―には、それは無理だった。

それにしても、目の前の、

みたらし団子は、めっちゃ美味しそうだった。

さすが神将級だ。

「思惟少将閣下、わたくしを食・べ・て♡」

みたらし団子は言った。

ここは地下の妖精の国だし、ニッキ―も妖精サイズだし、

命の恩人のみたらし団子が、「私を食・べ・て♡」と言う事も、

あり・・・なのか?

神将級と言ったら姫様の側近の式神でしょう。

もしかして、

これは通過儀礼の様なもの?

桃太郎の黍団子のようなもの?

食べちゃうと、鬼退治に、

行かなくちゃならなくなるようなアイテム?

「思惟少将閣下、早く~」

ニッキーは、みたらし団子に、急かされた。


つづく  


更新は、毎週日曜日です。(≧∀≦)♪ 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

奇妙な日常

廣瀬純一
大衆娯楽
新婚夫婦の体が入れ替わる話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...