思惟ちゃんと式神的な巨大ロボット

健野屋文乃(たけのやふみの)

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2章 分身の術?

7話 眠れない裸族の思惟

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「わたしってこんな匂いがするんだ・・。」

裸族にも関わらず、「いざって時に、困るから」と、

浴衣を着せられてしまった裸族の思惟は、

眠れなかった。


裸族の思惟の両隣には、同じ匂いのする思惟が、

すでに深い眠りに入っていた。


股には、コテカが塔の様に建っていた。

両隣を少女に挟まれての、この状態。


絵的には、凄い状況だか、今、女将の間で、

この状況にツッコミを入れてくれる人はいない。


眠れない裸族の思惟は、自身の股を見た。


コテカに詳しい訳じゃないけど、

股にあるコテカは、普段着と言うより、

儀式用の様な感じがする。

もしこれが股ではなく、地上に建っていたら、 
古代遺跡の塔だと思うだろう。


眠れない裸族の思惟は、

これをニューギニア島の近くの島から、

持ち帰った曾おじいちゃんの事を思った。

死んでも帰れぬニューギニア戦線から、

生きて帰った曾おじいちゃんが残してくれたもの。

 
そう思うと、股が・・・違う、胸が熱くなった。

曾おじいちゃんは、

思惟が、小学校に上がる前に死んでしまった。

でも微かに面影は覚えている。

写真で見ると小柄な人だったが、

幼い頃の思惟には、大きく偉大な人だった。
そして、心の中は冒険心に溢れていた。


曾おじいちゃんが、幼い思惟に話してくれたのは、

ニューギニア島近くの島での話。


日本軍の基地があったその島のサンゴ礁の底で、

見つけた秘密の古代神殿の話。

大昔に海に沈んだ大陸の話。


曾おじいちゃんは、このコテカが、

沈んだ大陸の秘密を握ってると信じて疑わなかった。


「思惟、いいかい。本当の事はね、境界に隠してあるんだよ」


曾おじいちゃんは、幼い思惟にそういって優しく微笑んだ。


「境界・・・」


裸族の思惟は呟いた。そして、


「曾おじいちゃん、思惟は立派な裸族に成りました・・・」


と報告したら、


「いい話風にするな!」


両隣の寝ているはずの思惟に、ツッコまれた。

両隣も眠れなかったらしい・・・




つづく
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