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2章 分身の術?

5話 女将修行手帳の行方

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古い木の匂いが充満している物置部屋は、

遠い昔の人々の思い出に守られているようで、とても安らいだ。



「確か・・・この辺にエレベーターのドアがあったはず・・・」


スポブラ思惟は言った・・・って、違う!


彼女はいつの間にか高跳び様のスパッツに履き替えていた。


「いつのまに!」

思惟αβは、同時に声を上げた。


それにしても、出来る女は、何をやっても早い。

せっかく【スポブラ】って名前をつけたのに。

思惟αは愚痴った。


陸上部のレギュラーのユニホーム。

栄光の中学陸上部時代の象徴。

1年から3年まで、高跳びのレギュラーだった栄光の時代。

高跳びをしたいと言う部員が、

思惟しかいなかったから可能だったのだが(汗)

大会での成績は、あれだったが・・・


「私の栄光の時代~」

ちょっと涙が零れそう。


そんな思惟αβの感慨をよそに、

あみさんは物置部屋の探索にあたっていた。



「何もそれらしい形跡は無いわね」

あみは、古い白壁を優しく撫でながら言った。


その大人びた雰囲気は、癒された。


「あの手で、なでなでされたいよね」

思惟βは、思惟αの気持ちを代弁してくれた。


他の思惟も薄々は気づいているのだが、

あみさんの胸が、他の思惟より大きい。


着物の奥に何か入れているのだろうか?



「揉んでみようか?」

思惟βは大胆な事を思惟α言った。

「それは・・・でも女同士と言うか思惟同士な訳だから、

確かめるチャンスは幾らでもあるんじゃない。

それを待ちましょう」


「慎重なんだから」


 「そう言えばスパッツさんの腹筋も何気に割れてる。

お尻もなんかぷりぷりしてるー」


「あっホントだ。さっきまで同じ思惟だったはずなのに!なぜ?

・・・って言うか、スパッツさんって、ちょっとダサいかも・・・。

もうちょっと考えましょ」


「じゃあリクさんで・・・・」


「男子見たい・・」


思惟αは、女将修行手帳を取り出して【凛琥】と書いて見せた。


「いいかも♪」


・・・って言うか、女将修行手帳、私が持ってるじゃん。

思惟αは1人、にやけた。



つづく

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