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4章 結社同盟
4話 光学迷彩の家臣くん
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やっと僕は光学迷彩が着れた。
『組織としては、お前なんか信じられんが、姫巫女候補生の由良穂香がお前を信頼しているのであれば、仕方ない』
言い方はもっと穏便だったが、光学迷彩の担当係はそんなニュアンスの事を僕に言った。
まあそうだろうな。
身元不明の元誘拐犯グループの一味だし。
その場にラマンさんがいなかったら、泣いていた。
「僕が1人で行っても良いの?」
その問いにラマンさんは、
「誘拐事件関係で忙しいし、姫巫女候補生である由良穂香が信頼するあなたを信頼しない訳には行かないし」
と。
『信頼』その言葉の重さを感じた。
僕は光学迷彩を着てホテルの外に出た。
出入り口は地下の駐車場の出入り口を使った。
光学迷彩着てても、赤外線や電波探知だから自動ドアは開くんだ。
僕は駐車場の出入り口の自動ドアで確認した。
「じゃあ穂香をよろしくね」
「はい、任せてください」
ラマンさんと会話を交わした後、僕は地下駐車上を慎重に歩いた。
誰からも見えない存在になった僕の心は高鳴り、身体は緊張した。
気を付けなくては行けないのは、車の運転手から僕が見えないって事だ。
僕の横を、僕を気にしない車が通り過ぎて行った。
僕はこの世界に存在しないに等しいのだ。
深呼吸をした後、光学迷彩の注意点を改めて確認した。
この光学迷彩の存在を知られても、疑われても行けない。
自動ドアや手動のドアも、出来るだけ避ける事。
歩く時は、相手はこちらを見えないので、慎重に行動する事。
光学迷彩技術は、発展途上技術だから、少しでも故障を疑われた場合は、すぐに対処する事。
えちえちな事をする余裕などないらしい。
とりあえず由良穂香に来るように言われたので、スワンボートがある池まで、このまま行って見ることにした。
これじゃあ、バスにも電車にもタクシーにも乗れない。
光学迷彩を着たまま大通りを歩いた。
僕の存在を認知していない人を避けるのは大変だ。
まるで降り注ぐ隕石を避けているみたいだ。
前からも後ろからも右からも左からも、その隕石が向かって来るのだ。
人の居ない所に行きたい。
僕は裏路地に入った。幾分人が少ない分、気分が楽になった。
「疲れた・・・コンビニでも行って、何か飲み物でも・・・」
自動ドアの前に立つと、自動ドアが開いた。
レジの店員と客がふっとこっちを見た。
そう誰もいないはずなのに、自動ドアが開いたのだ。
そっか僕は存在しないんだった。
僕は諦めて、由良穂香のいるスワンボートがある池に、とぼとぼと歩いて向かった。
つづく
『組織としては、お前なんか信じられんが、姫巫女候補生の由良穂香がお前を信頼しているのであれば、仕方ない』
言い方はもっと穏便だったが、光学迷彩の担当係はそんなニュアンスの事を僕に言った。
まあそうだろうな。
身元不明の元誘拐犯グループの一味だし。
その場にラマンさんがいなかったら、泣いていた。
「僕が1人で行っても良いの?」
その問いにラマンさんは、
「誘拐事件関係で忙しいし、姫巫女候補生である由良穂香が信頼するあなたを信頼しない訳には行かないし」
と。
『信頼』その言葉の重さを感じた。
僕は光学迷彩を着てホテルの外に出た。
出入り口は地下の駐車場の出入り口を使った。
光学迷彩着てても、赤外線や電波探知だから自動ドアは開くんだ。
僕は駐車場の出入り口の自動ドアで確認した。
「じゃあ穂香をよろしくね」
「はい、任せてください」
ラマンさんと会話を交わした後、僕は地下駐車上を慎重に歩いた。
誰からも見えない存在になった僕の心は高鳴り、身体は緊張した。
気を付けなくては行けないのは、車の運転手から僕が見えないって事だ。
僕の横を、僕を気にしない車が通り過ぎて行った。
僕はこの世界に存在しないに等しいのだ。
深呼吸をした後、光学迷彩の注意点を改めて確認した。
この光学迷彩の存在を知られても、疑われても行けない。
自動ドアや手動のドアも、出来るだけ避ける事。
歩く時は、相手はこちらを見えないので、慎重に行動する事。
光学迷彩技術は、発展途上技術だから、少しでも故障を疑われた場合は、すぐに対処する事。
えちえちな事をする余裕などないらしい。
とりあえず由良穂香に来るように言われたので、スワンボートがある池まで、このまま行って見ることにした。
これじゃあ、バスにも電車にもタクシーにも乗れない。
光学迷彩を着たまま大通りを歩いた。
僕の存在を認知していない人を避けるのは大変だ。
まるで降り注ぐ隕石を避けているみたいだ。
前からも後ろからも右からも左からも、その隕石が向かって来るのだ。
人の居ない所に行きたい。
僕は裏路地に入った。幾分人が少ない分、気分が楽になった。
「疲れた・・・コンビニでも行って、何か飲み物でも・・・」
自動ドアの前に立つと、自動ドアが開いた。
レジの店員と客がふっとこっちを見た。
そう誰もいないはずなのに、自動ドアが開いたのだ。
そっか僕は存在しないんだった。
僕は諦めて、由良穂香のいるスワンボートがある池に、とぼとぼと歩いて向かった。
つづく
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