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3章 我が忠実なる家臣団

11話 ラマンさんの想い

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僕はじっと耳を澄ました。
光学迷彩と言えども、音が消えるわけではないのだ。

「・・・」

しかし、20分くらいで、僕はその行為に飽きた。

「ふぅ」

一体、僕はこのままどうなるんだ?
そんな不安が体に満ちていく気がした。

パニックルームには本棚があって文学全集なるものが、揃えてあった。
閉じ込められた密室で、気が触れそうになるのを防ぐため、僕は一冊本を取った。

『銀河鉄道の夜』

僕が読んだことがあるのかないのかは不明だ。

僕はエレベーターの前に椅子を置いて、銀河鉄道の世界に没頭した。

この食材運搬用のエレベーターが、僕と外の世界を結ぶ、たった一つの吊り橋の様な物だ。

銀河鉄道が、北十字を通過している頃、エレベーターの動く音がした。

エレベーターのドアは静かに開いた。

そこには封書が一通入っていた。

封書の中には、メッセージカードが入っていた。

 『あの娘は、私を選ばなかった。だから、あなたには期待する。』

僕は深呼吸をした。

これが、
『秘密結社の大切な姫巫女候補生に手を出してしまった禁断の恋!』
の僕の妄想作文に対する返答だ。

由良穂香とラマンさんが、どういう関係なのかは解らないが、由良穂香を愛したラマンさんは、由良穂香に告白して断られた。って事だろう。

封書にはカードとは別に手紙が入ってあった。

『手紙の方は消去して、メッセージカードの方は、消去せず、あなたが持っていてくれると嬉しい』

ラマンさんがどんな人かは解らないが、何かラマンさんの心の芯に触れた気がした。

僕は、書かれている通りに手紙の方をシュレッダーに入れた。

そして、メッセージカードの方を、じっと見つめた。



*★*――――*★* *★*――――*★*


メッセージカードは手書きでメッセージが書かれていた。
癖のない個性を消した文字だ。

僕はメッセージカードの方も、シュレッダーに入れた。

「冗談じゃない!こんな想い、受け取れる訳がない!」



*★*――――*★* *★*――――*★*


・・・と言うシーンを空想した後、僕はメッセージカードを、財布の中に大切にしまった。


つづく

秘密結社な小説への御来訪、ありがとうございます。 [壁]‥) チラッ
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