破滅の王子と武者倶楽部 美少女は秘密結社のエージェント♪

健野屋文乃(たけのやふみの)

文字の大きさ
上 下
21 / 40
3章 我が忠実なる家臣団

1話 パターン黒、ロスト!

しおりを挟む
「あれ・・・パターン黒(秘密結社員)が、いない」

「あっ・・・」

広い公園のどこにも、
パターン黒が、見当たらない。


「パターン黒、ロスト!」

あるじは、テンション高めで言って、僕を見た。

基本、テンション低めの僕は、
急にはテンションを上げられないので、
軽くスルーした。

「イエイ♪」

このあるじの「イエイ♪」は、
言葉としては意味はないのだが、
流れのリズムとしては、
きっと欠かせない言葉なのだろう。

「完全に巻かれたのです。さすがパターン黒です。」

多分、こちら側の油断だと思うが・・・

「でも、我が忠実なる家臣団の皆さん、安心してください。
こんな時の為に、私には能力があるのです」

家臣団って、僕、1人だが・・・

「あるじの能力?ちょっとそれっぽい」

「そう私は能力者なのです。
その能力は『猫使い』でっす。」

「猫使い!!!おおお!
猫を、自由自在に使役する能力ですね」

「さすが我が家臣!読みが鋭いです。
ほぼその通りです♪私が猫に何度か使われて
『こいつは使える!』と思われると、
時々助けを請える能力です」

「使役される方じゃないですか!」

「日頃からの努力が、ものを言う能力です」

あるじは、猫笛を取り出すと吹いた。そして、

「ちょっとベンチに座って待ってよう」

と。

「でも・・・パターン黒の行った方角を、
追いかけた方が良いんじゃないですか!
今ならまだ間に合うかも」

「家臣くん、それは極めて凡庸な考え方です。
もしパターン黒が尾行を警戒して、
待ち構えているかも知れないのです。こちら側は、
パターン黒の予想を超える攻勢を仕掛けるのが、
凡庸を超える者の戦い方です。
私が『猫使い』だと知る者は、今のところ家臣くんだけです。
これは秘策中の秘策。誰も予想できません。
猫を警戒する人など、まず存在しません。」


と、あるじは言ったのですが、
気まぐれな猫ちゃんが、誰も助けには来てくれず・・・

僕らは、公園のベンチで、日が暮れるまで、待ち続けたのでした。

「なんじゃこれー」僕は心の中で叫んだ。


つづく


秘密結社な小説への御来訪
ありがとうございます。 [壁]‥) チラッ


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

意味のないスピンオフな話

韋虹姫 響華
キャラ文芸
本作は同列で連載中作品「意味が分かったとしても意味のない話」のスピンオフ作品に当たるため、一部本編の内容を含むものがございます。 ですが、スピンオフ内オリジナルキャラクターと、pixivで投稿していた自作品とのクロスオーバーも含んでいるため、本作から読み始めてもお楽しみいただけます。 ──────────────── 意味が分かったとしても意味のない話────。 噂観測課極地第2課、工作偵察担当 燈火。 彼女が挑む数々の怪異──、怪奇現象──、情報操作──、その素性を知る者はいない。 これは、そんな彼女の身に起きた奇跡と冒険の物語り...ではない!? 燈火と旦那の家小路を中心に繰り広げられる、非日常的な日常を描いた物語なのである。 ・メインストーリーな話 突如現れた、不死身の集団アンディレフリード。 尋常ではない再生力を持ちながら、怪異の撲滅を掲げる存在として造られた彼らが、噂観測課と人怪調和監査局に牙を剥く。 その目的とは一体────。 ・ハズレな話 メインストーリーとは関係のない。 燈火を中心に描いた、日常系(?)ほのぼのなお話。 ・世にも無意味な物語 サングラスをかけた《トモシビ》さんがストーリーテラーを勤める、大人気番組!?読めば読む程、その意味のなさに引き込まれていくストーリーをお楽しみください。 ・クロスオーバーな話 韋虹姫 響華ワールドが崩壊してしまったのか、 他作品のキャラクターが現れてしまうワームホールの怪異が出現!? 何やら、あの人やあのキャラのそっくりさんまで居るみたいです。 ワームホールを開けた張本人は、自称天才錬金術師を名乗り妙な言葉遣いで話すAI搭載アシストアンドロイドを引き連れて現れた少女。彼女の目的は一体────。 ※表紙イラストは、依頼して作成いただいた画像を使用しております。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

処理中です...