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2章 地下街の秘密基地
1話 御恩と奉公
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僕は今ある記憶を、由良穂香に話した。
「って事は、私を誘拐した事も記憶にない訳ですね」
「ですね」
「誘拐を実際に実行したのは、家臣くんで・・」
由良穂香は、そう言うと、僕の匂いを嗅いだ。
「この匂いで、間違いないです・・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・・ちょっともう嗅ぐの止めてもらえません?
なんか落ち着かないので・・・」
穂香は、チラっと僕の顔を伺った後、嗅ぐのを止めた。
彼女がその視線の奥で、何を考えているのかは読み取れなかった。
「家臣くんが私を誘拐した証拠は、あちこちに残っていると思う。
それはあえて残させた・・・この誘拐が失敗した場合もしくは、成功したとしても、家臣くんにすべての罪を擦り付ける為に」
「それ酷くないです?」
「ありがちな手法です。
私は目隠しされていて、他の犯人グループの顔は解らない。
ただ家臣くんが、お弁当を買いに行かされたり、怒鳴られていたのは聞こえていた。
あの時、ちょい泣きの家臣くんは外に引きずられて行った・・・
そして、4、5時間後、家臣くんだけが戻ってきた。
この事から求められる結論は?」
と問われても僕には何も答えられるわけもなく。
由良穂香は、じっと僕の顔を見つめた。
美少女オーラを復活させた由良穂香に、見つめられるのは、悪い気はしなかったが、その鋭い視線は、居心地が良いとは言えなかった。
穂香は、何か一つの結論を見つけた表情の後、瓶に入った軟質のミネラルウォーターを飲み干した。
軟質の水に流されるように、その鋭い視線は消え、普通の美少女に戻った。
「ところで家臣くんに挙げたいものがあるんです。」
穂香は、財布から1万円札を1枚僕に手渡した。
「なんです?」
「御恩」
「御恩と奉公の?」
「そう家臣くんの俸禄です。あるじとしての責務ですから」
1万円・・・日給1万円。
バイト代としては悪くないんじゃないですか♪
「その代わり、家臣くんは命がけで『いざ穂香!』ですよ」
いざ穂香・・・日給1万円で、命がけで『いざ穂香!』は、少し安いような気もするが、相手は女子高生。
あまり吹っかけても・・・記憶もない事だし、妥当だろう。
「了解しました。その御恩お受けします。」
「良かった~」
穂香は本当に嬉しそうに微笑んだ。
この微笑みの為なら、日給1万円だって、十分な金額と言える。
「私にとって初めての家臣だから、奮発しちゃった。私のバイト代5万で、その2割でしょう。」
「えっ?」
「ん?」
「もしかして、それって俸禄は月1万って事?」
「うん」
「月1万貰って、命がけで、いざ穂香ですか!?」
「えー私の収入の2割ですよ。私が100万石なら、20万石ですよ!
大名さん扱いですよ!」
「・・・」
「そのお顔、不満なんですか~大名さん扱いなんて、故郷のお母さん泣いて喜ぶ扱いですよ~」
故郷も何も、記憶すらありませんから、僕は。
「私なりに精一杯の誠意の御恩なのに・・・」
「・・・」
まあ、俸禄貰えるとは思ってなかったし、うん、まあ~月1万で手を打とう。
「解りました。その御恩で良いです」
「ひゃは♪それじゃあ、ご褒美の頭なでなでしてください」
「家臣があるじの頭を、ご褒美のなでなでって、どこの世界の主従関係ですか!」
「これは家臣くんの初めての『いざ穂香!』です。さあ、いざ穂香♪」
家臣の僕は、あるじの頭をなでなでした。
由良穂香は、少しだけ照れていた。
つづく
「って事は、私を誘拐した事も記憶にない訳ですね」
「ですね」
「誘拐を実際に実行したのは、家臣くんで・・」
由良穂香は、そう言うと、僕の匂いを嗅いだ。
「この匂いで、間違いないです・・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・・ちょっともう嗅ぐの止めてもらえません?
なんか落ち着かないので・・・」
穂香は、チラっと僕の顔を伺った後、嗅ぐのを止めた。
彼女がその視線の奥で、何を考えているのかは読み取れなかった。
「家臣くんが私を誘拐した証拠は、あちこちに残っていると思う。
それはあえて残させた・・・この誘拐が失敗した場合もしくは、成功したとしても、家臣くんにすべての罪を擦り付ける為に」
「それ酷くないです?」
「ありがちな手法です。
私は目隠しされていて、他の犯人グループの顔は解らない。
ただ家臣くんが、お弁当を買いに行かされたり、怒鳴られていたのは聞こえていた。
あの時、ちょい泣きの家臣くんは外に引きずられて行った・・・
そして、4、5時間後、家臣くんだけが戻ってきた。
この事から求められる結論は?」
と問われても僕には何も答えられるわけもなく。
由良穂香は、じっと僕の顔を見つめた。
美少女オーラを復活させた由良穂香に、見つめられるのは、悪い気はしなかったが、その鋭い視線は、居心地が良いとは言えなかった。
穂香は、何か一つの結論を見つけた表情の後、瓶に入った軟質のミネラルウォーターを飲み干した。
軟質の水に流されるように、その鋭い視線は消え、普通の美少女に戻った。
「ところで家臣くんに挙げたいものがあるんです。」
穂香は、財布から1万円札を1枚僕に手渡した。
「なんです?」
「御恩」
「御恩と奉公の?」
「そう家臣くんの俸禄です。あるじとしての責務ですから」
1万円・・・日給1万円。
バイト代としては悪くないんじゃないですか♪
「その代わり、家臣くんは命がけで『いざ穂香!』ですよ」
いざ穂香・・・日給1万円で、命がけで『いざ穂香!』は、少し安いような気もするが、相手は女子高生。
あまり吹っかけても・・・記憶もない事だし、妥当だろう。
「了解しました。その御恩お受けします。」
「良かった~」
穂香は本当に嬉しそうに微笑んだ。
この微笑みの為なら、日給1万円だって、十分な金額と言える。
「私にとって初めての家臣だから、奮発しちゃった。私のバイト代5万で、その2割でしょう。」
「えっ?」
「ん?」
「もしかして、それって俸禄は月1万って事?」
「うん」
「月1万貰って、命がけで、いざ穂香ですか!?」
「えー私の収入の2割ですよ。私が100万石なら、20万石ですよ!
大名さん扱いですよ!」
「・・・」
「そのお顔、不満なんですか~大名さん扱いなんて、故郷のお母さん泣いて喜ぶ扱いですよ~」
故郷も何も、記憶すらありませんから、僕は。
「私なりに精一杯の誠意の御恩なのに・・・」
「・・・」
まあ、俸禄貰えるとは思ってなかったし、うん、まあ~月1万で手を打とう。
「解りました。その御恩で良いです」
「ひゃは♪それじゃあ、ご褒美の頭なでなでしてください」
「家臣があるじの頭を、ご褒美のなでなでって、どこの世界の主従関係ですか!」
「これは家臣くんの初めての『いざ穂香!』です。さあ、いざ穂香♪」
家臣の僕は、あるじの頭をなでなでした。
由良穂香は、少しだけ照れていた。
つづく
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