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1章

第3話 もう男心って、まったく解らない

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「もう遅いので、皆さまは寝てください」


朱里さんの言葉に、

「ええええ、夜まで歓迎会しようぜ!」

と小梅ちゃんは言ってくれたが、すでに小梅ちゃんは眠そうだ。

もう12時は回っている。


「ダメです、明日は魔法の先生が来られるのですよ。居眠りしては失礼でしょう」

「朱里さんは堅物」

小梅ちゃんは愚痴りながらも、眠さには勝たないらしい。


朱里さんは、3姉妹を寝かしつけた後、ぼくをぼくの部屋に案内した。


階段をどんどん登って行くと最上階に辿り着いた。

この屋敷がお城だとしたら、天守閣もしくは物見櫓と言った所か。

古い船の中にある伝声管のようなものが、幾つもあった。


個人の生活空間と言うより、司令部のような感じだ。



「それじゃあ、今夜はゆっくりお休みください。

明日仕事内容を説明させて頂きます」

朱里さんはそう言うと、物見櫓から出て行った。


ぼくは最強の装甲を脱ぐと、シャツと短パンに成った。


誰もいない物見櫓は、なんか静かすぎて眠れない。

そう言えば元いた世界は、色々騒がしかった。


ぼくは物見櫓から、外の景色を見た。

小さな要塞の広大な庭が見えた。

完全に暗闇だ。あの中にゴブリンが生息しているのだろう。

小さな要塞を囲うように城壁のような壁が、広大な庭を囲っていた。


小さな要塞だとしても、それなりの兵力がないと守れない。

ゴブリンだけでは、無理ぽい。

「ふう」

ぼくが溜息をついて、ベットに潜りこんだ。

眠りに落ちようとした時、誰かの気配を感じた。


「ヘイ同士、良い物持ってきたよ」

この声は、元いた世界では中学生ぐらいの年齢の桃子ちゃんだ。

「何?」

「ほら朱里さんの脱ぎたてのパンツ、男子ってこういうの好きでしょう」

「いやいやいやいや、そんなもの見つかったら、朱里さんに怒られるよ」

「じゃあ、あたしのパンツは?」

「いや脱がなくて良いから!」

「もう男心って、まったく解らない。あたしも庶民が行く学校ってとこに行ったら少しは解るんだけど、男って父上が魔王城攻略戦で戦死してから、ちゃんと見てないのよね」


そう言う事情で、庭が整備されていないのか。


「凛ちゃん男子の香りがする!」

「凛ちゃんは止めて!」

「りーんちゃん」

桃子が言った直後、

『敵、来た』

伝声管の奥から、そんな声が聞こえた。ゴブリンの声だろうか。

どこか人間ばなれしていた。


桃子はすばやく伝声管に向かって

「朱里さん盗賊団が来た!あたしは凛ちゃんを連れて、迎撃に向かう」


「えっ」

ぼくは驚いた。

そうか、ぼくは自宅警備兵団員だったんだ。

意味がかなり違うんだけどね!


「装甲を早く着て!」

ぼくは桃子に手伝われながら、伝説級の重装甲を纏った。

装着するとなんか強くなった気がした。


そして、もう1つ気づいたのは、この桃子とはなんか上手く話せている気がする。




つづく



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