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8話 伝説を手に入れたよ。
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穂波ちゃんと僕が、黄金に目が眩んだ様な目で、黄金の甲冑を纏う武者を見ていたのかも知れない。
「館の守り人と黒猫よ、残念です」
透き通った妖精の声が響いた。
「えっ何?」
と穂波ちゃんが言う間もなく、隠し扉の向こう側にいた黄金の武者は、隠し扉の向こうに消えてしまった。
穂波ちゃんは、急いで、隠し扉をこじ開けた。
そこは人一人がやっと入れるほどの、隠し部屋があった。
穂波ちゃんは、すぐに隠し部屋の壁や床を調べたが、どこかへ通じる通路の形跡など、何も発見できなかった。
「消えちゃった・・・しょぼんだよ」
穂波ちゃんはポツリと言った。
しょぼんな穂波ちゃんに、贈った一句。
しょぼんな穂波ちゃんは、気落ちしたらしく、
「今日はいいや」
と伝説作りは中止になった。
穂波ちゃんは、移り気な女の子なのだ。
「ん?穂波ちゃん見て!忘れ物かな?」
隠し扉の壁に、黄金の薙刀が立てられていた。
「私、子どもの頃薙刀習ってたんだよ」
穂波ちゃんは、黄金の薙刀を持つと構えた。
「穂波ちゃん凛々しい♪」
穂波ちゃんは、とても様になっていた。
そこに、ガチャ!
と急に隠し扉が開くと、忘れ物を取りに来たらしい黄金の武者が現れた。
そして、薙刀を構えている穂波ちゃんと、視線を合わせた。
部屋に気迫が満ちたのは、黒猫の僕にも解った。
そして黄金の武者は、静かに腰の刀に手をかけた。
数秒だけ、穂波ちゃんと黄金の武者との間に沈黙が流れた。
黄金の武者が刀を抜くと同時に、穂波ちゃんは薙刀を振り下ろした。
しかし穂波ちゃんの薙刀は空を切り、黄金の武者の刀も空を切った。
空を切ったと言えばカッコいいが、明らかに空振りだった。
えええええええ、この二人カッコだけ?
構えている姿は、まさに達人だが、振り抜く姿は幼児の遊び並みだった。
でも、2人の間で何か通じたのか、お互いの健闘を讃えるように抱き合った。
その姿はまるで激しく格闘した後かのように様になっていた。
さすが美少女。
そして、黄金の武者はちょっとだけ頷くと、隠し扉の奥へと帰って行った。
「えへ♪もらっちゃった」
穂波ちゃんは微笑んだ。
こうして僕らは、オルゴールの妖精伝説を手に入れた。
おしまい
「館の守り人と黒猫よ、残念です」
透き通った妖精の声が響いた。
「えっ何?」
と穂波ちゃんが言う間もなく、隠し扉の向こう側にいた黄金の武者は、隠し扉の向こうに消えてしまった。
穂波ちゃんは、急いで、隠し扉をこじ開けた。
そこは人一人がやっと入れるほどの、隠し部屋があった。
穂波ちゃんは、すぐに隠し部屋の壁や床を調べたが、どこかへ通じる通路の形跡など、何も発見できなかった。
「消えちゃった・・・しょぼんだよ」
穂波ちゃんはポツリと言った。
しょぼんな穂波ちゃんに、贈った一句。
しょぼんな穂波ちゃんは、気落ちしたらしく、
「今日はいいや」
と伝説作りは中止になった。
穂波ちゃんは、移り気な女の子なのだ。
「ん?穂波ちゃん見て!忘れ物かな?」
隠し扉の壁に、黄金の薙刀が立てられていた。
「私、子どもの頃薙刀習ってたんだよ」
穂波ちゃんは、黄金の薙刀を持つと構えた。
「穂波ちゃん凛々しい♪」
穂波ちゃんは、とても様になっていた。
そこに、ガチャ!
と急に隠し扉が開くと、忘れ物を取りに来たらしい黄金の武者が現れた。
そして、薙刀を構えている穂波ちゃんと、視線を合わせた。
部屋に気迫が満ちたのは、黒猫の僕にも解った。
そして黄金の武者は、静かに腰の刀に手をかけた。
数秒だけ、穂波ちゃんと黄金の武者との間に沈黙が流れた。
黄金の武者が刀を抜くと同時に、穂波ちゃんは薙刀を振り下ろした。
しかし穂波ちゃんの薙刀は空を切り、黄金の武者の刀も空を切った。
空を切ったと言えばカッコいいが、明らかに空振りだった。
えええええええ、この二人カッコだけ?
構えている姿は、まさに達人だが、振り抜く姿は幼児の遊び並みだった。
でも、2人の間で何か通じたのか、お互いの健闘を讃えるように抱き合った。
その姿はまるで激しく格闘した後かのように様になっていた。
さすが美少女。
そして、黄金の武者はちょっとだけ頷くと、隠し扉の奥へと帰って行った。
「えへ♪もらっちゃった」
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こうして僕らは、オルゴールの妖精伝説を手に入れた。
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小木田十(おぎたみつる)
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児童小説のコーナーです。大人も楽しめるよ。 / 小木田十(おぎたみつる)フリーライター。映画ノベライズ『ALWAIS 続・三丁目の夕日 完全ノベライズ版』『小説 土竜の唄』『小説 土竜の唄 チャイニーズマフィア編』『闇金ウシジマくん』などを担当。2023年、掌編『限界集落の引きこもり』で第4回引きこもり文学大賞 三席入選。2024年、掌編『鳥もつ煮』で山梨日日新聞新春文芸 一席入選(元旦紙面に掲載)。
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