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6話 深夜の街を徘徊してみたよ。
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控えめな照明で照らされた商店街のアーケードに、人影は見当たらなかった。
妖精ππの大きな羽根は、収納式らしく大きな登山用リュックほどに収まっていた。
それでも、中3の穂波ちゃんには、そうとう重いらしく、ヨロヨロと歩いた。
小さな黒猫に過ぎない俺は、持ってあがられない。
代わりに俺は、周囲を警戒してあげた。
妖精の格好&へそ出しの姿を、誰かに見られたら大変だ。
穂波ちゃん家は、結構厳しい家だし、補導されたり、商店街の誰かに見られたら、大騒ぎだ。
元々深夜に出歩く子じゃないし。
ずっと箱入り&良い子だった穂波ちゃんは、怒られた事がないらしい。
そんな子が、深夜の街を徘徊・・・
温和なご両親がどんな反応をするか、想像もつかない。
「クシュン」
寒空の下、めっちゃ薄着の妖精ππはくしゃみをした。
「大丈夫?」
「うん・・・伝説のためπ
とりあえずここに入るπ」
アーケードの出入り口付近には、オルゴールの人形時計が、飾ってあった。
10時、12時、17時の時報計3回、オルゴールの人形たちは、楽しくタップダンスを踊る。
その下にはメンテナンス用の、小さな部屋があった。
妖精ππは、ポケットから、手に収まるサイズの小さなオルゴールを取り出した。
そして、それをメンテナンス用の部屋の鍵穴に着けた。
「ん?」
妖精ππは、
「Φ(ファイ)は、ππ・・・・ππ・・・・3、1415926535・・・・」
と呪文のように唱え、オルゴールのねじを回しだした。
「えっ、ホントにおかしくなっちゃた?」
心配する俺をよそに、穂波ちゃんは再び、
「Φ(ファイ)は、ππ、アップルパイ!」
と。
「呪文?ええええええー穂波ちゃーん」
俺が真剣に心配してると、「ガチャ」と鍵が空いた。
「マジカヨ」
「Φ(ファイ)は、ππ、アップルパイ。
私はオルゴールの妖精、控えめなππ」
穂波ちゃんは、そう言うとメンテナンス室に入った。
俺も慌てて続いた。そして、
「Φは、ππ、アップルパイ」
俺も唱えてみた。
「あっ・・・五円くんはダメ」
と、穂波ちゃんが、可愛い声で言った。
「どうして?」
「五円くんは言っちゃダメ。五円くんと私はあれだから」
「あれ?」
「あれがああなって、あちらが、ああなって、あれがああなるから」
俺の何か知ってるのに、答えてくれない、ちょっとムカッとしたので、反撃呪文を唱えてみた。
「Φは、ππ、アップルパイ!」
「もうダメだって!五円くん!」
穂波ちゃんは可愛い声で制止した。
そんな穂波ちゃんに詠んだ一句。
穂波ちゃんは、何かを呟きながら、室内いっぱいにある大きなオルゴールのメンテナンスを始めた。
猫の過去
秘するππ
音をあげる
ねじ巻き黒句
つづく?
妖精ππの大きな羽根は、収納式らしく大きな登山用リュックほどに収まっていた。
それでも、中3の穂波ちゃんには、そうとう重いらしく、ヨロヨロと歩いた。
小さな黒猫に過ぎない俺は、持ってあがられない。
代わりに俺は、周囲を警戒してあげた。
妖精の格好&へそ出しの姿を、誰かに見られたら大変だ。
穂波ちゃん家は、結構厳しい家だし、補導されたり、商店街の誰かに見られたら、大騒ぎだ。
元々深夜に出歩く子じゃないし。
ずっと箱入り&良い子だった穂波ちゃんは、怒られた事がないらしい。
そんな子が、深夜の街を徘徊・・・
温和なご両親がどんな反応をするか、想像もつかない。
「クシュン」
寒空の下、めっちゃ薄着の妖精ππはくしゃみをした。
「大丈夫?」
「うん・・・伝説のためπ
とりあえずここに入るπ」
アーケードの出入り口付近には、オルゴールの人形時計が、飾ってあった。
10時、12時、17時の時報計3回、オルゴールの人形たちは、楽しくタップダンスを踊る。
その下にはメンテナンス用の、小さな部屋があった。
妖精ππは、ポケットから、手に収まるサイズの小さなオルゴールを取り出した。
そして、それをメンテナンス用の部屋の鍵穴に着けた。
「ん?」
妖精ππは、
「Φ(ファイ)は、ππ・・・・ππ・・・・3、1415926535・・・・」
と呪文のように唱え、オルゴールのねじを回しだした。
「えっ、ホントにおかしくなっちゃた?」
心配する俺をよそに、穂波ちゃんは再び、
「Φ(ファイ)は、ππ、アップルパイ!」
と。
「呪文?ええええええー穂波ちゃーん」
俺が真剣に心配してると、「ガチャ」と鍵が空いた。
「マジカヨ」
「Φ(ファイ)は、ππ、アップルパイ。
私はオルゴールの妖精、控えめなππ」
穂波ちゃんは、そう言うとメンテナンス室に入った。
俺も慌てて続いた。そして、
「Φは、ππ、アップルパイ」
俺も唱えてみた。
「あっ・・・五円くんはダメ」
と、穂波ちゃんが、可愛い声で言った。
「どうして?」
「五円くんは言っちゃダメ。五円くんと私はあれだから」
「あれ?」
「あれがああなって、あちらが、ああなって、あれがああなるから」
俺の何か知ってるのに、答えてくれない、ちょっとムカッとしたので、反撃呪文を唱えてみた。
「Φは、ππ、アップルパイ!」
「もうダメだって!五円くん!」
穂波ちゃんは可愛い声で制止した。
そんな穂波ちゃんに詠んだ一句。
穂波ちゃんは、何かを呟きながら、室内いっぱいにある大きなオルゴールのメンテナンスを始めた。
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秘するππ
音をあげる
ねじ巻き黒句
つづく?
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小木田十(おぎたみつる)
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児童小説のコーナーです。大人も楽しめるよ。 / 小木田十(おぎたみつる)フリーライター。映画ノベライズ『ALWAIS 続・三丁目の夕日 完全ノベライズ版』『小説 土竜の唄』『小説 土竜の唄 チャイニーズマフィア編』『闇金ウシジマくん』などを担当。2023年、掌編『限界集落の引きこもり』で第4回引きこもり文学大賞 三席入選。2024年、掌編『鳥もつ煮』で山梨日日新聞新春文芸 一席入選(元旦紙面に掲載)。
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