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5話 お風呂沸かしといたよ。
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街が寝静まった満月の夜。
ぼくは黒猫だけど、オルゴール博物館の中庭で、檜の盥(たらい)のお風呂に入っていた。
凍えていた身体が、ホント芯から温まる。
お風呂好きな猫は珍しいけどね。
明治の古い洋館のしっとりとした闇が、昼間の喧騒をすーと鎮めていた。
そこに・・・
「一夜一夜に人身頃 人並みに奢れや おなご」
と、穂波ちゃんの透き通った美しい声が響いた。
「カッコ ゆえに今夜の私は、奢り昂ぶるの!五円くん カッコ閉じ」
穂波ちゃんは、オルゴール博物館の館長の1人娘で、中学3年の受験生だ。
色々混乱しているお年頃。
ちなみに、五円と言う名前は、ぼくの目が、五円硬貨みたいだかららしい。
う~ん、良いのか?悪いのか?
ご縁で、縁起はいいらしいが・・・・
「それより穂波ちゃん、何、その格好?」
「カッコ格好?穂波ちゃん?誰?カッコ閉じ」
カッコ閉じって・・・受験勉強のしすぎで、口調がおかしくなってしまったらしい。
「私はオルゴールの妖精、ππ(ぱいぱい)・・・
妖精仲間は、私を控えめなππ(ぱいぱい)と呼ぶ」
普段は、地味で控えめな穂波ちゃんは、黄緑の妖精ぽい衣装を来て、背中には妖精には大きすぎる、どちらかというと天使のような羽根を付けていた。
そして、この寒いのに、おへそを出していた。
控えめなおへそが、穂波ちゃんらしいと言えばらしい。
「さあ、行くπ。オルゴールの妖精伝説を作るπ!」
穂波ちゃんはそう宣言すると、檜の盥から、ぼくを抱き抱え、バスタオルでぼくを包み込んだ。
穂波ちゃんに、バスタオルで拭かれるの、好きー!
しあわせとは、こう言うことを言うんだ。
「しかし・・・・オルゴールの妖精伝説を作るって何?」
「イッツ オルゴール販売ステマπ」
「ステマかよ」
「ア~ ワタシ ハクブツカン ツグコロ キャク ヘルノ カクジツπ」
「なんで片言?英語苦手なの?」
「クロネコ ト ヨウセイ ニ マツワル デンセツ ツクルノ
デンセツ アルト オルゴール ウレル
ハコイリムスメハ ハコノナカデ カンガエタノサπ」
「えっ俺も伝説に加わるの?」
「イエース アイ デュー \(゜□゜)/
ユー アー ベリー ミステリアス
クロネコ イルト ナンカ 不可思議なコト オキソウ
不可思議 イコール クロネコπ」
「買いかぶり過ぎだよ。
黒猫はね、静かで地味に生きたいんだよ」
満月の下、控えめなππに贈った一句。
満月に
奢れや おなご
黒猫と
ねじ巻黒句
つづく
ぼくは黒猫だけど、オルゴール博物館の中庭で、檜の盥(たらい)のお風呂に入っていた。
凍えていた身体が、ホント芯から温まる。
お風呂好きな猫は珍しいけどね。
明治の古い洋館のしっとりとした闇が、昼間の喧騒をすーと鎮めていた。
そこに・・・
「一夜一夜に人身頃 人並みに奢れや おなご」
と、穂波ちゃんの透き通った美しい声が響いた。
「カッコ ゆえに今夜の私は、奢り昂ぶるの!五円くん カッコ閉じ」
穂波ちゃんは、オルゴール博物館の館長の1人娘で、中学3年の受験生だ。
色々混乱しているお年頃。
ちなみに、五円と言う名前は、ぼくの目が、五円硬貨みたいだかららしい。
う~ん、良いのか?悪いのか?
ご縁で、縁起はいいらしいが・・・・
「それより穂波ちゃん、何、その格好?」
「カッコ格好?穂波ちゃん?誰?カッコ閉じ」
カッコ閉じって・・・受験勉強のしすぎで、口調がおかしくなってしまったらしい。
「私はオルゴールの妖精、ππ(ぱいぱい)・・・
妖精仲間は、私を控えめなππ(ぱいぱい)と呼ぶ」
普段は、地味で控えめな穂波ちゃんは、黄緑の妖精ぽい衣装を来て、背中には妖精には大きすぎる、どちらかというと天使のような羽根を付けていた。
そして、この寒いのに、おへそを出していた。
控えめなおへそが、穂波ちゃんらしいと言えばらしい。
「さあ、行くπ。オルゴールの妖精伝説を作るπ!」
穂波ちゃんはそう宣言すると、檜の盥から、ぼくを抱き抱え、バスタオルでぼくを包み込んだ。
穂波ちゃんに、バスタオルで拭かれるの、好きー!
しあわせとは、こう言うことを言うんだ。
「しかし・・・・オルゴールの妖精伝説を作るって何?」
「イッツ オルゴール販売ステマπ」
「ステマかよ」
「ア~ ワタシ ハクブツカン ツグコロ キャク ヘルノ カクジツπ」
「なんで片言?英語苦手なの?」
「クロネコ ト ヨウセイ ニ マツワル デンセツ ツクルノ
デンセツ アルト オルゴール ウレル
ハコイリムスメハ ハコノナカデ カンガエタノサπ」
「えっ俺も伝説に加わるの?」
「イエース アイ デュー \(゜□゜)/
ユー アー ベリー ミステリアス
クロネコ イルト ナンカ 不可思議なコト オキソウ
不可思議 イコール クロネコπ」
「買いかぶり過ぎだよ。
黒猫はね、静かで地味に生きたいんだよ」
満月の下、控えめなππに贈った一句。
満月に
奢れや おなご
黒猫と
ねじ巻黒句
つづく
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