3 / 5
第3話 シャーペンとボールペン
しおりを挟む
「歴史の追試?」
ぼくが不思議そうに聞くと、女神の少女は言った。
「学校では、2千年くらいしか教えないけど、女神のわたしは、宇宙創世から覚えないといけないの、だから人類の細かい歴史までは手に負えない」
「・・・」
女神は大変だ。
・・・と言うわけで、ぼくはシャーペンに変身させられ、彼女の代わりに追試を解くことになった。
追試のある教室で、彼女は何気に、シャーペンのぼくを、指でクルクルと回し始めた。
クルクルクルクル、凄い勢いで!
「目が廻るよ!」
その言葉をきっかけに、回転はさらに速度を上げた。
「な・・な・・な」
それは明らかに人知を超えたスリルだった。
「何がしたいんだ!試験前だよ!」
追試の教師が入ってくると、人知を超えたスリル体験は終わった。
「今日はね、君の為に、特注のシャーペンの芯を作ってきたの。
君がシャーペンな訳だし・・・健康を気遣って、カカオから直接作ったビターチョコレート芯だよ。徹夜で作ったから眠いよ。」
「そんな暇があったら勉強しろよ!」
彼女は、シャーペンのキャップをとった。
そして、じーと芯を入れる穴を見つめた。
「そ・・そんなに見んといて・・・」
彼女はニヤッとすると、ビターチョコレート芯をシャーペンに入れた。
「どう?」
「ビター、身体の芯からビター」
「今回は、あれも入れたからね」
「あれって?」
「あれよ、あれ(*v.v)。」
「あれって、何だよ!」
追試用紙が配れて、追試が始まった。
追試は、前やった問題だし、そんなに難しくはなかった。
ぼくが追試問題を解き終えると、彼女は指でぼくをくるりと回し、ブレザーの内ポケットに仕舞った。
「おお!」
「ご褒美♪」
内ポケットは、少女の体温と優しい香りに包まれていた。
そして、波打つ彼女の心臓音が、ぼくの身体の芯まで伝わってきた。
「生きてる・・・ぼくも彼女も」
その音をじっと聞いていると、ぼくはだんだんと眠たくなった。
変身って意外と精神力と体力を使う。
「君をペンにして、歴史の問題を書き込む。
君の一部を使って、歴史を書き込む感覚。
なにか深い意義と意味があるような気がする」
「・・・うん、そうだね」
眠りに落ちながら、ぼくは相槌を打った。
気がつくとぼくは、彼女の部屋にいた。
ふふふっ、初めての彼女の部屋。
でも、まだぼくはシャーペンのまま・・・
いや違う、ぼくはボールペンになっていた。
少女は、施錠してある日記の鍵を開けた。
「ボールペンのインクと化した君の一部を使って、わたしの歴史を記す」
少女はそう言うと、日記の真っ白なページに、自分の今日一日の歴史を記した。
少女は、日記を書く手を止め、ボールペンを、くるりと回すと言った。
「何かを付加する事によって、意義とか意味は、その存在価値が出てくるの。
この行為の象徴的な意義と意味が、何か解る?」
え?
ぼくの思考回路には何も浮かばなかった。
「・・・・・解らない、何?」
「教えなーい♪」
少女は嬉しそうに答えた。
おしまい
ぼくが不思議そうに聞くと、女神の少女は言った。
「学校では、2千年くらいしか教えないけど、女神のわたしは、宇宙創世から覚えないといけないの、だから人類の細かい歴史までは手に負えない」
「・・・」
女神は大変だ。
・・・と言うわけで、ぼくはシャーペンに変身させられ、彼女の代わりに追試を解くことになった。
追試のある教室で、彼女は何気に、シャーペンのぼくを、指でクルクルと回し始めた。
クルクルクルクル、凄い勢いで!
「目が廻るよ!」
その言葉をきっかけに、回転はさらに速度を上げた。
「な・・な・・な」
それは明らかに人知を超えたスリルだった。
「何がしたいんだ!試験前だよ!」
追試の教師が入ってくると、人知を超えたスリル体験は終わった。
「今日はね、君の為に、特注のシャーペンの芯を作ってきたの。
君がシャーペンな訳だし・・・健康を気遣って、カカオから直接作ったビターチョコレート芯だよ。徹夜で作ったから眠いよ。」
「そんな暇があったら勉強しろよ!」
彼女は、シャーペンのキャップをとった。
そして、じーと芯を入れる穴を見つめた。
「そ・・そんなに見んといて・・・」
彼女はニヤッとすると、ビターチョコレート芯をシャーペンに入れた。
「どう?」
「ビター、身体の芯からビター」
「今回は、あれも入れたからね」
「あれって?」
「あれよ、あれ(*v.v)。」
「あれって、何だよ!」
追試用紙が配れて、追試が始まった。
追試は、前やった問題だし、そんなに難しくはなかった。
ぼくが追試問題を解き終えると、彼女は指でぼくをくるりと回し、ブレザーの内ポケットに仕舞った。
「おお!」
「ご褒美♪」
内ポケットは、少女の体温と優しい香りに包まれていた。
そして、波打つ彼女の心臓音が、ぼくの身体の芯まで伝わってきた。
「生きてる・・・ぼくも彼女も」
その音をじっと聞いていると、ぼくはだんだんと眠たくなった。
変身って意外と精神力と体力を使う。
「君をペンにして、歴史の問題を書き込む。
君の一部を使って、歴史を書き込む感覚。
なにか深い意義と意味があるような気がする」
「・・・うん、そうだね」
眠りに落ちながら、ぼくは相槌を打った。
気がつくとぼくは、彼女の部屋にいた。
ふふふっ、初めての彼女の部屋。
でも、まだぼくはシャーペンのまま・・・
いや違う、ぼくはボールペンになっていた。
少女は、施錠してある日記の鍵を開けた。
「ボールペンのインクと化した君の一部を使って、わたしの歴史を記す」
少女はそう言うと、日記の真っ白なページに、自分の今日一日の歴史を記した。
少女は、日記を書く手を止め、ボールペンを、くるりと回すと言った。
「何かを付加する事によって、意義とか意味は、その存在価値が出てくるの。
この行為の象徴的な意義と意味が、何か解る?」
え?
ぼくの思考回路には何も浮かばなかった。
「・・・・・解らない、何?」
「教えなーい♪」
少女は嬉しそうに答えた。
おしまい
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
古屋さんバイト辞めるって
四宮 あか
ライト文芸
ライト文芸大賞で奨励賞いただきました~。
読んでくださりありがとうございました。
「古屋さんバイト辞めるって」
おしゃれで、明るくて、話しも面白くて、仕事もすぐに覚えた。これからバイトの中心人物にだんだんなっていくのかな? と思った古屋さんはバイトをやめるらしい。
学部は違うけれど同じ大学に通っているからって理由で、石井ミクは古屋さんにバイトを辞めないように説得してと店長に頼まれてしまった。
バイト先でちょろっとしか話したことがないのに、辞めないように説得を頼まれたことで困ってしまった私は……
こういう嫌なタイプが貴方の職場にもいることがあるのではないでしょうか?
表紙の画像はフリー素材サイトの
https://activephotostyle.biz/さまからお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる