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壱章 転校生の少女

第四話 金ぴかのトランペット

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「めっちゃ、むかつくー」
転校生の少女は、ロープーウェイに変身させられた、僕の中で叫んだ。
綺麗な少女が、僕の中に居るって不思議な感覚だ。

1日で陸上部を辞め「吹奏楽部に転部したい」と担任に言ったら、愚痴愚痴と説教されたらしい。

「憂さ晴らしに、山頂に行ってすっきりしたい」
と思った少女は、歩いて登るのが面倒だからって、通りすがりの僕を捕まえ、ロープーウェイに変身させた。

「元々ロープーウェイなんて無い登山道に、突然ロープーウエイが出来たら、目立つよ・・・」
「大丈夫、誰かに見つかっても、確かめようとした時には、もうロープーウェイは無いから」

山頂に着いて、今度はトランペットに変身させられた。

「人間に戻れる」と思ったのに・・・

トランペットになった僕に、彼女は口を着け息を吐いた。

これって初キス?

驚く僕の身体に、彼女の息が吹き込まれた。

彼女の息が僕の口から身体を抜けお尻の方へ、もしくはお尻から身体を抜け、口に・・・

トランペットになってしまった僕には、もう、どちらがどちらなのか解らなくなった。

口にしても、お尻にしたも、金ぴかのトランペットに違いないんだけど。

1時間ほど吹いていると、登ってきた登山客のグループが、

「ほらー、ロープーウェイなんて無いじゃん!
どっかの山と勘違いしてるんじゃない」
と言いながら山頂にやってきた。

そして、山頂でトランペットを吹く少女に足を止めた。

自分自身の状態が認識できない僕は混乱した。
「何、この辱め・・・いや・・・良いんだ。
喜んで貰えれば・・・あ・・でも、そこは押しちゃダメだって!」

そんな僕の叫びは、トランペットの美しい音色となって、観客を酔わせ、そして僕らは、山頂で拍手喝さいを浴びた。

「終わりよければ全てよしだよ」
少女は僕に囁いた。

少女の言葉に、僕は全く納得してなかったのだが。



つづく
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