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林檎飴の香りがした
【参】メモに書かれた日時と場所
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ぼくは東京の街を半年ぐらい人を探して彷徨った。
そしてぼくは見つけた。
【愛結島琉之輔商店】と言う店を。
店の店員は、そりゃああああああああ!
愛想が悪かった。
良くこれで商売を成り立たせているのが凄い!
でも、久しぶりの人に、リアルではあまり喋らないぼくも、喋りまくった。
店員は、聞いているのか聞いていないのか、相槌も曖昧だった。
「なんで人がいないんですか?」
「ああ、それね」
と言う風に曖昧になって会話が成立はしなかったが、
「なんで人がいないんですか?」
と2度聞くと、
「まあ、花粉症の性って事になってるけど、どうだろうね」
と、無理すると少しだけ会話が成立した。
「花粉症の性じゃないって、思ってる口調ですね」
「花粉症の性じゃないって、思ってる口調ですよ」
「・・・」
「・・・」
先に沈黙に耐えられなくなったぼくが、口を開こうとすると、愛想の悪い店員が口を開いた。
「元々の理由が何であれ、結局はこういう形になって行ったはずだ。ここはそう言う世界線だかね」
「世界線?」
「パレレルワールドって奴だよ」
「パレレルワールド?」
愛想の悪い店員に言われても、簡単には信じられないのだが、でも、この異質感を説明するには、ちょうどいいかも。
ぼくは喋った分と言ってはあれだが、大量の商品を買い込んだ。
金を払い終えると、愛想の悪い店員は、
「これあんたにだ」
「ん?」
「女から伝言だ」
とぼくはメモを受け取った。
メモには日時と場所が記されていた。
「1年後か・・・はあ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1年後、ぼくはなんとか生き抜き、メモに書かれた日時と場所に、1人立っていた。
大都会なのに、誰もいない大都会の中心でだ。
メモに書かれた時間ちょうどに、デニム女子が、バイクに乗ってやってきた。
会うなり彼女は、
「生きてた?」
と声を掛けた。
「生きてた?」
「たいていの人間は、おかしくなっちゃんだよ。
人は社会的な生き物だからね。生き残るのはあなたみたいな馬鹿で鈍感な人。
そして孤独に強い人。良い性格をしてるね。それじゃ合格だよ」
「合格?」
「ここは凍京市、新しい時代に適応した人だけが辿り着ける街」
「新しい時代?」
「ほら、凍京名物林檎飴だよ、新しい時代の味がするよ、食べみてぃ」
その赤さは、新しい時代の様な色をしていたが、味は普通だった。
林檎飴の香りがした編 完
そしてぼくは見つけた。
【愛結島琉之輔商店】と言う店を。
店の店員は、そりゃああああああああ!
愛想が悪かった。
良くこれで商売を成り立たせているのが凄い!
でも、久しぶりの人に、リアルではあまり喋らないぼくも、喋りまくった。
店員は、聞いているのか聞いていないのか、相槌も曖昧だった。
「なんで人がいないんですか?」
「ああ、それね」
と言う風に曖昧になって会話が成立はしなかったが、
「なんで人がいないんですか?」
と2度聞くと、
「まあ、花粉症の性って事になってるけど、どうだろうね」
と、無理すると少しだけ会話が成立した。
「花粉症の性じゃないって、思ってる口調ですね」
「花粉症の性じゃないって、思ってる口調ですよ」
「・・・」
「・・・」
先に沈黙に耐えられなくなったぼくが、口を開こうとすると、愛想の悪い店員が口を開いた。
「元々の理由が何であれ、結局はこういう形になって行ったはずだ。ここはそう言う世界線だかね」
「世界線?」
「パレレルワールドって奴だよ」
「パレレルワールド?」
愛想の悪い店員に言われても、簡単には信じられないのだが、でも、この異質感を説明するには、ちょうどいいかも。
ぼくは喋った分と言ってはあれだが、大量の商品を買い込んだ。
金を払い終えると、愛想の悪い店員は、
「これあんたにだ」
「ん?」
「女から伝言だ」
とぼくはメモを受け取った。
メモには日時と場所が記されていた。
「1年後か・・・はあ」
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1年後、ぼくはなんとか生き抜き、メモに書かれた日時と場所に、1人立っていた。
大都会なのに、誰もいない大都会の中心でだ。
メモに書かれた時間ちょうどに、デニム女子が、バイクに乗ってやってきた。
会うなり彼女は、
「生きてた?」
と声を掛けた。
「生きてた?」
「たいていの人間は、おかしくなっちゃんだよ。
人は社会的な生き物だからね。生き残るのはあなたみたいな馬鹿で鈍感な人。
そして孤独に強い人。良い性格をしてるね。それじゃ合格だよ」
「合格?」
「ここは凍京市、新しい時代に適応した人だけが辿り着ける街」
「新しい時代?」
「ほら、凍京名物林檎飴だよ、新しい時代の味がするよ、食べみてぃ」
その赤さは、新しい時代の様な色をしていたが、味は普通だった。
林檎飴の香りがした編 完
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