MPを補給できる短編小説カフェ 文学少女御用達

健野屋文乃(たけのやふみの)

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19 新しい物語の章

高度知的生命体の少女は、グリフォンに乗って舞い降りた。

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高度知的生命体の少女は、グリフォンに乗って舞い降りた。
ぼくは円盤型の宇宙船を想像していたのに、虚を突かれた。

「SFとファンタジーのジャンル分けは、ちゃんとしたいのに」
「君が来てくれって言ったから来たのに、その言い草はないよね」
と高度知的生命体の少女は言った。

「まあ、そうなのだが、でも本当に来るとは思ってなかった」

ここは、海の見える高級別荘地の一室。
正確には、昔、高級別荘地だったと言うべきだろう。
今では一般住宅以下の価値しかない哀しい存在だ。
ゆえに今は空き家だ。

そうぼくが勝手に住居不法侵入をしているだけだ。

さて、ぼくは別に、宇宙人の事を100パーセント信じたいた訳じゃない。
「いるんじゃないかな」って程度だ。

どうせ偽物だろう。って宇宙人の呼び出し方を本に書かれている様にしたら、本当に宇宙人が来てしまったのだ。

高度知的生命体の少女は、とても美しかった。
どのくらい可愛いかと言うと、人類で一番可愛い人より120パーセントくらい可愛さアップした位だ。

「生命体は進化すると美しくなるものだよ」
高度知的生命体の少女は、言った。

「それにしてもなんで全裸なのですか?」
「君に対して服を着る必要があると思う?」

彼女の言葉を深く考えると、なんか色々現実を知ってしまいそうなので、沈黙した。

「でも、君が気になるなら服を着ても良いよ」
と高度知的生命体の少女は、紺のコートを羽織った。

「いや・・・」
ぼくはそれを否定する言葉を否定した。

「今日はね、君の為に素敵な窓を取り付けてあげたよ」

そこには海が見える大きな窓が取り付けてあった。
今は、高度知的生命体の少女によって、紺色のカーテンが閉められていた。

「君はわたしと同じ景色を見たい?」

高度知的生命体の少女が見ている景色。

「ぼくが見ている景色と違うの?」
「そりゃーね」
この高度知的生命体の少女と同じ景色を見れる。
そりゃー興味をそそられた。
「見て見たい」
ぼくが言うと高度知的生命体の少女は微笑み、カーテンを開けた。

そして、ぼくは発狂した。

ぼくの意識の欠片が、高度知的生命体の少女の
「はぁ」
と嘆く声を、感知した。

        

      完
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