MPを補給できる短編小説カフェ 文学少女御用達

健野屋文乃(たけのやふみの)

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11 きわみの章

狂気の魔法使いと美しき世界

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その日、魔法使いの支配が始まってしまった。

支配者になった魔法使いは完全に狂っていた。
でもその狂いは、私にとっては絶賛好都合なのは間違いない。

魔法使いの呪いによって、私は美少女になってしまった。

めっちゃ美少女だ。

魔法使いは完全に狂っていた。
でもその狂いは、私にとっては絶賛好都合なのは間違いない。

私を美少女にするなんて♪♪♪

魔法使いがこちらを伺っているので、
「こんな姿になって、私はこれからどうやって生きて行けばいいの?」
と嘆いて見せた。(もちろん楽しく生きて行くが)

魔法使いはにやけ、私も心の奥でにやけた。

「ふふふ罪人よ、その姿でお前が犯した罪を悔いながら生きるがいい!」

そう魔法使いは私を叱責し、去って行った。

私は自分の姿を確認し再びにやけた。
「美しい」
でも、それが本当の呪いで在ると確信したのは、1週間後だ。

美少女の需要がなくなっていたのだ。
正確には、美しさに価値がなくなってしまったのだ。

美しい少女。
美しい生き物。
美しいデザイン。
美しい生き方。
美学。

人々は、それらに価値を感じなくなっていた。
そして、世界から美しいものが少しずつ消えていった。

この世界でただ1人、美しさに憧れ欲している存在となった私は、美しさが失われていく世界に、狂気した。



           完
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