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9 なつめぐの章
伊都国の女王さまの糸
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「その昔、伊都国の女王さまが、この国の女の子を助けるために、国中に張り巡らせた糸があるの『伊都国の女王さま、助けて』と願いながら、糸を引っ張れば、女王さまが仕掛けた仕組みが作動して、この国の女の子を助けてくれるの」
と、教えてくれたのは、隣のクラスの幼馴染の少女だった。
『親友』
それを確かめたことはないけど、私は彼女の事をそう思っている。
彼女は、思いつめた表情で、私を見つめていた。
色々心配をかけっぱなしだ。
ダメな私でいつもごめんね。
その糸は、技術準備室の壊れた壁の奥にあった。
1000年以上前の伊都国の女王さまの【糸】が、築数十年の中学の校舎に何であるのか?
それをなぜ幼馴染の少女が知っているのか?
等、多々疑問点があったが、クラスでいじめに遭っている今の現状では、そんな事、些細な事の様に思えた。
私は壁の奥を覗いた。
壁の中を張り巡らされているらしい糸は、ピーンと張っていた
「引っ張ってみる?」
幼馴染は言った。
私は幼馴染の目を見つめ頷いた。
「伊都国の女王さま、助けて・・いじめから私を助けて」
と呟き、壁の奥にある凧糸の様に頑丈な糸を引っ張った。
グイッと!
「・・・・」
「・・・・」
何も起こる気配はない。
しかし、数秒後・・・
いじめの主犯の担任教師の声が、グランドから聞こえた。
私たちは2階の窓へと走った。
窓から見下ろすと、担任の教師が
「きったね~」
と叫んでいた。
よーく見ると鳥の糞が、担任の教師に降り注いでいた。
クラスの男子とサッカーを楽しんでいる最中の災難だったらしい。
頼りがいのある兄貴の様な担任の教師が、生徒とサッカーを楽しんでる。
って言う 絵 を鳥の糞が台無しにした。
鳥の糞によって、教師から爽やかな表情は消え、一瞬だけ、私を苛める時に見せる陰険な顔が現れた。
幼馴染は
「これが伊都国の超科学の威力だよ!」
と絶賛した。
どういうメカニズムかは解らないけど、もしかすると、本当に糸を引いたから?
私たちは、ニヤリとした。
そして再び、壁の奥の糸を引いてみた。
急いで窓の外を見ると、担任教師の姿はなく、担任教師がいた場所には、人が一人入れるくらいの穴が開いていた。
どうやら担任教師が落ちたらしく、グランドは大騒ぎになっていた。
担任教師は、夜半過ぎに助け出された。
穴の奥で何があったのか解らないが、まるで別人の様になって出てきたらしい。
もしかしたら本当に別の人に変ったのかも知れない。
私たちは放課後、技術準備室にあった道具を使い、壁を封鎖した。
なんとなく、伊都国の女王さまに『終わったら塞いで』と言われた様な気がして。
これが伊都国の超科学の威力なのかどうかは、未だ確認が取れていない。
おしまい
と、教えてくれたのは、隣のクラスの幼馴染の少女だった。
『親友』
それを確かめたことはないけど、私は彼女の事をそう思っている。
彼女は、思いつめた表情で、私を見つめていた。
色々心配をかけっぱなしだ。
ダメな私でいつもごめんね。
その糸は、技術準備室の壊れた壁の奥にあった。
1000年以上前の伊都国の女王さまの【糸】が、築数十年の中学の校舎に何であるのか?
それをなぜ幼馴染の少女が知っているのか?
等、多々疑問点があったが、クラスでいじめに遭っている今の現状では、そんな事、些細な事の様に思えた。
私は壁の奥を覗いた。
壁の中を張り巡らされているらしい糸は、ピーンと張っていた
「引っ張ってみる?」
幼馴染は言った。
私は幼馴染の目を見つめ頷いた。
「伊都国の女王さま、助けて・・いじめから私を助けて」
と呟き、壁の奥にある凧糸の様に頑丈な糸を引っ張った。
グイッと!
「・・・・」
「・・・・」
何も起こる気配はない。
しかし、数秒後・・・
いじめの主犯の担任教師の声が、グランドから聞こえた。
私たちは2階の窓へと走った。
窓から見下ろすと、担任の教師が
「きったね~」
と叫んでいた。
よーく見ると鳥の糞が、担任の教師に降り注いでいた。
クラスの男子とサッカーを楽しんでいる最中の災難だったらしい。
頼りがいのある兄貴の様な担任の教師が、生徒とサッカーを楽しんでる。
って言う 絵 を鳥の糞が台無しにした。
鳥の糞によって、教師から爽やかな表情は消え、一瞬だけ、私を苛める時に見せる陰険な顔が現れた。
幼馴染は
「これが伊都国の超科学の威力だよ!」
と絶賛した。
どういうメカニズムかは解らないけど、もしかすると、本当に糸を引いたから?
私たちは、ニヤリとした。
そして再び、壁の奥の糸を引いてみた。
急いで窓の外を見ると、担任教師の姿はなく、担任教師がいた場所には、人が一人入れるくらいの穴が開いていた。
どうやら担任教師が落ちたらしく、グランドは大騒ぎになっていた。
担任教師は、夜半過ぎに助け出された。
穴の奥で何があったのか解らないが、まるで別人の様になって出てきたらしい。
もしかしたら本当に別の人に変ったのかも知れない。
私たちは放課後、技術準備室にあった道具を使い、壁を封鎖した。
なんとなく、伊都国の女王さまに『終わったら塞いで』と言われた様な気がして。
これが伊都国の超科学の威力なのかどうかは、未だ確認が取れていない。
おしまい
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