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7 きらめきの章
恵の雨と破滅の洪水
しおりを挟む【1番目の選択】
私は、人の気配が消えた静寂の大地に立っていた。
龍神が引き起こした洪水によって、私の生まれ育った村は跡形もなく消え去った。
龍神は私に言った。
「生贄に捧げられた少女よ・・・お前が勝者だ」
「何が勝者よ・・・・」
「100年に1度、この土地は干ばつに襲われる。
その度に生贄の少女が捧げられ、その度に我は捧げられた生贄の少女に
『恵みの雨が欲しいか?それとも破滅の洪水が欲しいか?』と尋ね、
そして、希望通りに実行する」
私は、静寂に包まれた大地に立ち尽くした。
「悔やんでいるのか?生贄に捧げられた少女よ。
しかし、この土地の勝者は、そう言った罪を背負って生き続けるしかない。」
そう言うと、龍神はふっと姿を消した。
そして、洪水によって無に帰した大地だけが私の前に広がっていた。
【2番目の選択】
「うっ・・・」
私の背中に痛みが走った。
さっきまで優しい表情をしていた龍神が、冷たい目をしてに私の背後に立っていた。
「あなたの血と涙が、あなたの里に潤いと豊かな富を与える」
着ていた白い着物が、赤く染まっていく。
龍神を睨み付けると、龍神は
「大地にとって、人間の善悪など関係ない。ただ、生と死があるだけだ・・・」
私の血と涙と身体が・・・・土に返って行く様な感触がした。
おしまい
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