上 下
45 / 186
5 なれそめの章

呪われた花園 前編

しおりを挟む
その場所は、この高原の町で、

最も見晴らしのいい場所にあった。

テニスコート二つ分くらいの広さの花畑には、

蓮華の花を始め色鮮な花々が咲き乱れていた。

町役場はこの場所に、

巨大な保養施設の建設を計画していた。
それは、過疎化を何とか食い止めるための最後の策だった。

しかし、計画は延々と進まず、

測量すら終了していない状況だった。

町長は不愉快そうな表情で、車で現場に向かった。
「何が呪われた花園だ!」
と町長は車中で1人怒りをぶちまけた。

数週間前、この場所に測量に訪れた作業員が、

測量途中に食べた弁当にあたって、

全員が食中毒で入院する騒ぎがあった。


全国にニュースが流れたこともあって、

町はちょっとした大騒ぎになった。

保健所が原因の調査をしたが、

原因を突き止めることは出来なかった。

それ以外にも、

現場監督が突然心臓発作を起こしたり、

機械の細かい故障が相次いだ。

そして、作業員達は口々に
「この花園は呪われてる。」
と言った。

町長は
「馬鹿馬鹿しい。」
と呟きながら、その花園の前に車を停め、ドアを開けた。

すると、蜂が車の中に入ってきた。
そのうちの一匹が、

町長が払った手を避け町長の首元にとまった。


町長が叩き潰そうとすると、
「その蜂は叩き潰されても、あなたを刺します。」
と声がした。

正確には声じゃない、 脳に直接伝わって感覚。

町長が前を見ると、

車のハンドルの上に不思議な蜂が止まっていた。


形や大きさは普通の蜂と変わらないのだが、

体の色が青緑色をしていた。

その青緑色は町の歴史資料館で見た、

古墳から発掘された青銅の色に似ていた。

青銅色の蜂は
「刺されたらあなたの命に関わります。

抵抗なされないほうが、お互いのためだと思われます。」
と町長に言った。

町長がバックミラーで自分の首元を見ると、

テニスボール程の巨大な蜂が止まっていた。

 

町長は蜂が、

それも青銅色の蜂が自分に話しかけていること自体、

信じられなかったが、

自分の首元にとまってるテニスボール程の蜂に刺されるとが、

命に関わることは理解できた。
 

町長は、首元の蜂を叩き潰そうとしていた、手を下ろした。


後編に つづく
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

意味がわかるとえろい話

山本みんみ
ホラー
意味が分かれば下ネタに感じるかもしれない話です(意味深)

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜アソコ編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとエッチなショートショートつめあわせ♡

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜下着編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショートつめ合わせ♡

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜舐める編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショートの詰め合わせ♡

処理中です...