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5 なれそめの章
例えば人生がチェス盤として、の話。 前編
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例えば人生がチェス盤だとしたら、今の僕の現状はこんな具合だ。
僕は相手のキングを前にして、既にチェックメイトをかけようとしていた。
その時だ、チェス盤上に絶世の美女が現れた。
僕の胸はときめき、僕の思考回路は、一瞬でその人が運命の人であると、判断を下した。
しかし・・・
僕がその美女の方へ向かうと、やっと追い詰めたキングに逃げられてしまう。
悪魔に見えなくも無い天使、もしくは天使に見えなくも無い悪魔が、僕の耳元で
「早くしないと、女に逃げられてしまうぜ。あんないい女、今後一生、お目にかかれないぜ。」
と言った。
すると反対の耳元で、
天使に見えないことも無い悪魔、もしくは悪魔に見えないことも無い天使が
「あのキングを追い詰めるのに、お前は人生の大半を費やしてきたはずだ。
今、チェックメイトをかければ、お前の夢が叶うんだ!
あんな女の為にお前が幼い頃から、持ち続けた夢を、あきらめるのか?」
と言って、僕に二者択一を迫った。
僕はチェス盤上で
「運命の人か?幼い頃からの夢か?」
と呟き迷った。
そして、僕の思考回路は、両方手に入れる方法を考え始めた。
神が
「欲深い人間め!」
と言ったかどうかは知らない。
僕はすべてを手に入れる為に、背後で控える手持ち駒のルークを動かした。
若気の至りか?自信過剰な若蔵か?
ルークはやたら頼もしく思えた。
後編へ
つづく
僕は相手のキングを前にして、既にチェックメイトをかけようとしていた。
その時だ、チェス盤上に絶世の美女が現れた。
僕の胸はときめき、僕の思考回路は、一瞬でその人が運命の人であると、判断を下した。
しかし・・・
僕がその美女の方へ向かうと、やっと追い詰めたキングに逃げられてしまう。
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