MPを補給できる短編小説カフェ 文学少女御用達

健野屋文乃(たけのやふみの)

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1 はじまりの章

みんな、アル中寸前さ

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僕の周りの大人たちは、みんなアル中寸前だ。
僕の担任の先生も、駐在のお巡りさんも、

ガソリンスタンドのおっさんも、みんなみんなアル中寸前だ。

僕のママが美人過ぎるからだ。
だから、みんな正月なのに家にも帰らず、

僕のママの居酒屋に入りびたりで飲み続けているんだ。

みんなから『訳あり』と呼ばれている、

板前のおじちゃんが、小料理を作りながら
「誰が悪い訳じゃない・・・誰が悪い訳じゃんない。」
と独り言でも言う様に、僕に言ったんだ。

そんな事、僕の知ったことじゃない。
僕にとって大事なことは、みんながくれるお年玉さ。



街に居酒屋が1つしかない街の、今年の正月の1シーン


おしまい

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