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第十六篇第三章 天下分け目の大戦・弐
繋がりが紡ぐ決着
しおりを挟む戦いが、加速の一途を辿る。
リズはライアの固有特性に対して自身の波動
を流し込み続けた結果、疲弊が続いた。
其のタイミングをライアは見逃さない。
「妾の一撃でそろそろ沈むでありんすッ…小娘ッ!!」
ライアが空中を舞いながらリズに向け梅重色
の波動が練り込まれた鉄扇を幾度も振るう。
其処から高密度の波動が流し込まれた鎌鼬の
嵐をリズに向けて乱舞する様に放つ。
「絶技…… 蝶調・超乱舞ッッ!!!!」
其の絶技の嵐がリズを呑み込み、襲う。
全身から血を噴き出したリズが遂に天を游ぐ
位置から身体を落下させ始めてしまった。
「(ダメだっ………リズのチカラじゃ…っ…まだ勝てない……っ)」
意識が飛びそうになりながら身体のチカラが
抜け落ちて行く最中にとある光景がリズの頭
の中にフラッシュバックした。
其れは、彼女にとっての最大とも言える戦い
へと挑み、臨む理由其の物だった。
「(あ……っ…でも。リズは…っ……み、みんなのタメに頑張らなきゃダメなんだっ……いっぱい……出来たんだからっ…リズのお友達。もうリズは……一人なんかじゃないのっ!!)」
其れは、孤独だった彼女に出来た友達の存在
であり其の光景の先頭に立つのはかつて孤独
に生きたリズに手を伸ばしたアドリーの姿。
数日前には、反乱軍だけだった其の光景の中
に革命軍やロード達の姿も在る。
其の想いが、リズに最後の戦うチカラを授け
眠れる闘志を目覚めさせるのだった。
「負けられないよっ……リズだって。絶技…」
くるりと尾ビレを旋回させて天に戻る。
天に創り出した水中空間の中に幾つもの陣が
描かれリズは其の魔法陣の中を游ぐ。
そして加速を続け、遂にはライアの胸元へと
自身の小太刀の刀身を届かせた。
「 麗渦・水游陣ッッ!!!!」
勝ちを確信していたライアは決死の一撃にて
舞い戻ったリズを止める事が出来なかった。
多量の血を噴き出し、意識が遠退く。
「ま、まさかで……ありんすっ……」
「わ……リズも限界だ……っ……」
先に落下したリズが地上に衝突する。
最後まで何とか翅を広げていたライアだった
ものの数秒遅れて地上へと落下した。
既に、両者の意識は其処には無い。
だが、ライアが地に衝突する事は無かった。
其の理由は、ライアの身体をがっちりと地上
で受け止めた刺青の男にあった。
「…………そのままおっ死ぬんじゃねぇぞ。楽になんか死なせやしねぇ……俺等はまだまだ苦しんで生きなきゃいけねぇんだ……」
ライアを受け止めたのは裏帝軍軍団長の名を
持つグレイ・ギルノーブルだった。
グレイはライアを抱き抱え其の場を離れよう
とした時にリズへと視線を落とす。
其の理由は、未だリズに息がある事。
しかし、目を逸らし此の場からライアを連れ
移動の為に跳び上がって行った。
帝国軍本部、右翼の戦い。
同盟軍リズvs政府軍ライア。
両者戦闘不能に依り、引き分け。
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