RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十六篇第三章 天下分け目の大戦・弐

牢蠍エゼルvs吼猿アルマ

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帝国軍本部、右翼の戦い。

此方では既に指揮を取る中将の一人が戦線へ
先陣を切って出張って来ていた。

名は、帝国軍中将アルマ・エルクラウド。

吼猿こうえんの異名を獲る強者だ。

対するは、反乱軍エゼル・アッシュトール。

二人は既に戦闘態勢へと入り込んでいた。



「あっちゃあ……僕ちんさあ~…こんなガチムチマッチョの男には興味が湧かないんだよねぇ~……出来たら美女達を護りながら戦いたかったしょ~……」



槍を華麗に使いこなし中将アルマの重い一撃
を華麗に捌いて行くエゼル。



「……騒がしい野郎だなァ…オメェは…聞いてもねェ事…ベラベラと喋りやがってよォ!」



対するアルマも溜息を吐きながら戦うエゼル
を押し込んで行く様にトンファーを振るって
戦況の有利さを掴もうと動く。



「あ~あ~……なんでこうガチムチマッチョって……真っ正面からバリバリにガンガン来るんしょ~?」


「……なんで、こう浮ついた野郎は…ベラベラ、ベラベラと口が減らねェんだァ…?」


「ま、敵さんの女性陣に出くわすよりはツイてたかもしんないっしょ。さ、ここはラッキーだと思ってぇ……頑張って行きまっしょいッ!!」



エゼルはアルマのトンファーを蹴り上げ背後
に宙返りをしながらオーラを練り上げる。

そして、顔がアルマの方向を向き直った途端
ニヤリと笑みを浮かべて言い放つ。



「鉄鏡覚醒…… 刺祇鉄蠍スティングスコルピオッッ!!」



エゼルが覚醒を放つ。

エゼルの襟足が伸び切り形状が蠍の尻尾の様
な形へと変化し蠢き始める。

そして、肩から新たに蠍の手が発現しエゼル
の腕が四本へと変わり行く。

更に、上半身には鎖が巻かれた姿と成った。



「僕ちんの本気……ガチムチマッチョ相手なら存分に発揮しきれるっしょ~!あ~マジでパねぇッ!!かぁもう…なんで美女達見てくれてないの…残念過ぎるっしょ~」



エゼルが肩から伸びた蠍の手を伸ばす。

そして、其の手が拳を作ると同時にアルマの
身体がエゼルに向けて引き寄せられた。



「がっ……鉄鏡のギフトってぇ事ァ……コイツの得意特性はアレかァ……!」



エゼルの鉄鏡のギフトの得意特性“磁力”。

敵を引き寄せたり反発させ遠ざけるチカラを
持った特性である。

だが、今回のエゼルは此れだけでは終わりと
言う訳には留まらず更なるチカラを解放して
アルマを追い詰めて行くのだった。



「いやいや、こっからが本番っしょ~。いや、マジでマジで!!」



引き寄せられていたアルマは一つ、不思議な
チカラが自身の身体に注がれていた事に此の
場面になって気付き始めた。



「(なんだ……片手が動かん……)」


「これが僕ちんの覚醒の固有特性っしょ」



ニヤリと笑ったエゼルの固有特性“拘束”。

エゼルの覚醒には一定時間、相手の身体から
一部を選択し動きを封じる特性があった。

引き寄せられて行くアルマは突如として危機
に直面してしまう。
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