RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十六篇第二章 天下分け目の大戦・壱

窮地に駆ける者

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「……でも。ごめんよお……アンタ。あっしはただの社畜さあ……首は奪らせて貰う…」



心に思う所は在れど、手が震える事は無い。

此れがオーズ・サーヴェントという男が此れ
までに経験して来た戦争の数が物語る部分と
言う事なのだろうか。

振り上げられた棘付きメイスが天を指した後
其の先端が緩りとガルダに向けて加速をして
振り下ろされて行く。

ガルダは、動けない。

いや、既に意識は其処には無かった。

待ち受ける運命を受け入れる事さえ本人には
解らず護られた仲間も此の事実を知る事さえ
出来ない可能性が高い。

オーズの武器がガルダに迫る。





其の、瞬間だった。

梔子色の葉を砂塵の様に巻き上げて其の場に
辿り着いた一人の黄髪の男の錫杖がオーズの
一撃を受け止めていた。

ガルダには、攻撃は届いていない。



「ギリギリ…間に合ったねェ……うぃ~」



何処か嬉しそうとも取れる言い方をする鬼の
姿をしたオーズは駆け付けた男を見遣る。



「ワオ………リミット直前……何とか、何とか間に合ったよ……ここからはミーが相手さ。ハングオーバーメン……!」



駆け付けた其の男の其の特徴的な口調。

他の選択肢等、皆無である。

同盟軍兼革命軍幹部ヴィスタ・リスボーン。

此処に参戦ー。




メイスを受け止めたヴィスタの錫杖が一気に
振り払われるとオーズは背後にステップをし
ヴィスタとの距離を開けた。



「ミーは見てたよ……ユーの闘志…仲間を護るその姿は……ベリークールね。リスペクトしてもし足りないよ……センクス、リーゼントメン」



ヴィスタの足元から吹き上がっていた梔子色
の葉達が集まりまるで空を行く葉の舟となり
ガルダの身体を乗せる。

そして、其の葉は緩りとガルダを乗せ同盟軍
の救護隊の元へと運ばれて行った。



「ヒック……便利なチカラだねェ。アンタもまた……仲間の為に身体を張るタチかい、ヒック……うぃ~」


「アンサーは要らないだろう?其のクエスチョンに対してはさ……」


「ヒック…そうだったねぇ……目で見ればわかるモノだったよォ……うぃ~」


「改めてネクストはミーがやる。異論は認めてないよ、ハングオーバーメン。行くよ?イッツア…ショウターーーーイムッ!!!」



まるで奇術師の様に錫杖で舞を見せヴィスタ
が全身に梔子色のオーラを纏う。

そして、高らかに宣言した。



「樹木覚醒……“ 森旋駆鼬フォレストウィーゾル”ッッ!!!!」



ヴィスタが覚醒を披露する。

其の姿は鼬をモチーフとしており鼬の細長い
尾が生え、垂れた獣耳が頭部に現れる。

更に、優雅な森林模様のローブを纏いフード
を奇術師の様に深く被る。

首元には瞳を閉じ巻き付く鼬を模したファー
をして戦闘体勢へと入った。



同盟軍ガルダvs政府軍オーズ。

ガルダの敗北に依りオーズの勝利が決まった
瞬間から新たな戦いの幕が開いた。


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