RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第十六篇第二章 天下分け目の大戦・壱

信念を折る理由

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激戦が更に加速する。

幾度とも無く瓢箪から酒を補給し、チカラの
上限を見せないオーズの攻めに対してガルダ
も自身の信念をぶつけ合い正面衝突を果たす
中でオーズはとある決断をする。



「ヒック……ああ…埒が開かないねぇ……そろそろ倒れてくれると助かるんだが…うぃ~」


「バカヤロウがァ……俺様に限ってそんな簡単に倒れるワケはねぇんだよォォ!!」



一度、距離を取ったオーズに対し翼を広げて
一気に距離を詰めるガルダ。

其れを片目で見ながらオーズは瓢箪に入った
酒を一気に飲み干し瓢箪を投げ捨てた。

目に見える酒は既に切れた。

恐らくはオーズにとっての此処が最上値。



「絶技…… 鬼気隆震・瀑羅酒ききりゅうしん・はくらざけ……ッ!!」



オーズは棘付きメイスで地を殴打する。

すると、振動を起こしながら隆起した大地が
まるで波の如くにガルダに向けて押し寄せて
迫り来るのだった。



「舐めんじゃねェ!!!!こんなモン、俺様のハクくてマブい一撃で正面突破してやらァァァ!!!!」



刈安色のオーラを纏い二本の鉄パイプを構え
攻撃に移ろうとしたガルダがふと背後に向け
視線を移すと表情を曇らせた。

そして、オーズにとって驚きの行動をガルダ
が起こした瞬間に唖然と口を開く。

ガルダは、突如として背後に向けて翼を広げ
後退すると大きく腕と翼を開き出来る限りの
突風を起こしてオーズの絶技を受け止めた。



「………な、なにやってるんだい……アンタは……自分から食らいに行くなんて…」


「うっるせェェェェェ!!!!」



身体の正面でオーズの絶技を受け止め全身の
血が噴き出す様にして膝を着くガルダ。

戦場の喧騒に掻き消され此の事実は周囲にて
戦う兵士の眼には未だ映っていない。

そして、驚愕し固まったままのオーズに対し
ガルダは震える足を何とか無理に動かし前へ
弱々しくも突き進んで行く。



「絶技…… 鷲撃・荒鷲烈破しゅうげき・あらわしれっぱァァ!!!!」



正に、決死の一撃。

大きくはためかせた翼から放たれた羽の攻撃
が四方八方からオーズを襲う。

其れと同時にガルダは中央からオーズに向け
鉄パイプで攻勢を図った。





しかし、限界だった。

絶技も鉄パイプでの殴打もオーズには届かず
果てる様にオーズの眼前で突っ伏し倒れる姿
を晒したガルダの首元にオーズは自身の武器
を当てがい悲哀に満ちた声で話す。



「アンタ……退かないんじゃ無かったのかい?背中に居る仲間達を護る為にわざわざあっしの絶技を食らいに行って………」


「……………るせェ。漢が信念曲げる時ァ…其れ相応の理由がいんだよ……ッ」


「…………カッコいいねぇ。あっしもアンタみたいに生きられてたら……今頃どうなってたんだろうねェ………」



既に意識を失いそうなガルダの真上でオーズ
は天を見上げて物思いに耽っていた。
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